2013年7月1日月曜日

藍より青く

インディゴが人工合成されてから天然藍の使用量は激減しましたが、
天然藍を使った藍染めは一度始めたらはまってしまう人が多いようです。

私も深みにはまらないように注意していましたが、
今年ついにタデアイの種を蒔いたので、
今年は生葉での染めをちょっとやろうかなと思ってもいます。

藍は、木綿に良く染まるだけでなく、
独特の匂いが蛇や虫を寄せ付けないということで
日本では農民にも多く利用されていました。

さて、日本で藍といえば徳島県です。
その名も藍住町に、「藍の館」という施設があります。

手前の新しい建物では、藍の製品と、奥にある建物、
昔の藍問屋、奥村家所蔵の資料が展示されています。

藍問屋は生葉の藍を発酵させて「すくも」を作り、
それを搗いて藍玉に加工し、全国に販売していました。
藍の葉を発酵させた「すくも」と、藍の種です。
日本の本土の藍はタデアイ(Persicaria tinctoria)という品種です。

藍草の押し葉です。

藍玉と、すくも藍を潰して色見本を作った「しいたけ」
本物の椎茸じゃないですよ。

昔の建物を利用して藍染め体験ができる場所がありました。
藍を発酵させる藍瓶です。
昔はここに、藍玉と水だけでなく、石灰、お酒、小麦ふすまなどいろいろな物を入れて
じっくり藍を発酵をさせてから使っていました。
これを「藍立て」と言います。
この藍立てがなかなか微妙で難しく、かつ面白いところのようです。

ここでの藍立ての方法が写真で解説されていました。
「かめに石灰をふる」

「蒅に石灰をいれる」

「灰汁を沸かし、蒅がもち状になるまでねる」

「きついアンモニア臭がたちこめる」

「かめに仕込む。3日後くらいで藍の華がたつとかめの上までかさあげをし
染まる様になる」

「藍の華」とは、藍の染め液の上に浮いてくる泡のことです。

商業的にはこの工程を省いて、
苛性ソーダなどのアルカリ薬品を使ってしまうことが多いようです。

藍は、主成分がインディカンの「バット染料」と言って、
アルカリ水溶液に溶解し、空気に触れて酸化することで
あのきれいな青色が発色します。

1度だけでは濃い青にならないので、
濃紺を出すには、何度も布を漬けては外に晒す作業を繰り返す必要があります。
だから、濃い青の布の方が値段が高くなるのです。
ムラのない濃紺を出すのはなかなか大変な作業となります。

体験講座のハンカチ染めの見本です。
絞りなど、好きな模様を選びます。
この時は時間がなく、私は無難に5のグラデーションを選びました。

で、藍染めの経験をされたことがない方に、
この独特の藍溶液の匂いをお伝えできないのが残念です。
写真ではわかりづらいですが、染め液はこの時点では茶色です。
浮いているのが藍の華です。
これが布につくとムラができるので、適時すくって一カ所に寄せておきます。

白い木綿布をまず水に浸して洗ったものを「しんしばり」という
竹の先に針をつけた道具でぴんと横に張り、
藍染め液に入れます。

先の方だけ漬けました。

液から出すとまだ汚い色です。

漬けては出すを繰り返します。
上の方が黄色っぽいのがおわかりでしょうか?

出したばかりだとこんな感じなのですが、
これが見る見るうちに青くなって行くのですよ。

青く色が出たら水洗いして、アイロンをかけて持ち帰ることができます。
慌てていて写真を撮り忘れました。
完成品は見本の5のようになります。

そして、奥村家の作業場です。
 いきなり、藍を梱包する等身大の人形でぎょっとします。
これは「ふとんかけ」という作業で、発酵の最後の工程です。

小型の人形で、藍栽培から藍染めまでの工程を解説しています。
これらもたいへんよく出来ています。
数が多いので全部をアップできずすみません。

※こちらにアップしてみました。

すくも藍の現物です。
どう作るかと言うと、これが写真と解説を見るだけでも大変そう。
すくもの作り方が説明されています。

発酵の熱で暑くて臭い肉体労働。
続ける人がいなくなってしまうのも納得です。

藍玉というのは、すくも藍を臼で搗いて運びやすく固形にしたものですが、
実際固める際には泥など加えられていたらしく、現在では作られていません。

昔使われていた道具もたくさん展示されています。

そして、一番奥が奥村家の屋敷です。
手前に、藍の葉を広げている職人さんの人形があります。

さすがは豪商のお宅という感じです。

二階の和室は、天井の壁紙がモダン!

こんな感じで、素敵な唐紙が貼られていました。

と、藍とちょっと離れてしまいましたが、
向いにある売店のプランターには、藍がすくすくと育っていました。

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