長崎は江戸時代の日本の海外への玄関口ということで
いろいろ独特な文化が今も残っています。
鼈甲細工もその一つで、長崎市べっ甲工芸館という施設があります。
建物は国の重文の旧長崎税関下り松派出所の建物を利用していて、
これだけでも見応えがあります。
この建物の保存処置についても解説がありました。
さて、本題のべっ甲です。
漢字の鼈甲の「鼈」という字はもともとスッポンを意味しているそうですが
最近、亀の甲羅はあばら骨が進化したものだという研究発表がされたばかりです。
スッポンもあと何千年かしたら鼈甲が取れるのかも???
これが鼈甲の材料になるタイマイです。
昔は沖縄や九州でのお土産にこんな剥製が売られてもいたのですが、
ご存じのように、ワシントン条約締結以降は作られていません。
これがタイマイの甲羅の表面を削ったもので、
全ての鼈甲製品の材料です。
あばら骨が進化したもの、と言われても、成分はコラーゲンです。
なので、水につけて熱を加えると柔らかくなるうえ、
自身が接着材となるのです。
加工工程が簡単に説明されています。
地作り
万力打ち
彫刻
もちろんこれだけじゃわかりづらいので、
作業工程の写真パネルも展示されています。
道具類も展示されています。
今では使われないような珍しいものもあります。
ここでひときわ目立つ場所に展示されているのがこれらの模型類。
昔は外国人がお土産に買っていったそうですが、
残念ながら、ワシントン条約では加工品の輸出も禁止されており、
せっかくの伝統的な鼈甲細工も、現在は国内販売しかできないのです。
ところで、上の帆船の帆のような大きな鼈甲って、
どんな巨大なタイマイの甲羅なの?
そして、鼈甲って黒っぽい斑点があるんじゃないの?
と、いろいろ疑問がわくかもしれません。
それについては、次回、実際の加工の様子をご紹介する中で説明致します。
奥には、現在の鼈甲製品が陳列されていました。
これらの品に使われているタイマイの甲羅は、
ワシントン条約の実施前にそれぞれの職人さんが
孫子の代まで使えるようにと買いだめされており、それを少しづつ使っているそうです。
しかし、当然値段も高く、毎年廃業される方が出ているそうです。
タイマイは絶滅危惧種に指定されていますが、
鼈甲職人さんも絶滅危惧職種です。
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