2015年4月25日土曜日

春の味

この春はとにかく複数の用事が同時多発したことと、悪天候続きで、
漆の木を植えている裏庭すら行くことができない日が続きました。
やっと見に行く余裕ができたら、晴天続きのおかげか、
一気に葉が伸びていました。


そして、花芽まで!

しかし、一本だけ、葉が全く出ていない木があります。
これ、去年この1本だけアブラムシのような虫が大量発生していた木のようです。

樹皮の下も緑色がなく、樹液も垂れてきません。

根元の方の樹皮はひび割れています。
間違いなく枯れてしまったようですが、これ1本だけ、理由がわかりません。

さて、まだやる事はいろいろあるため、家に戻ったところ、
近所の人がタラの芽をくれたと、父親が台所に持って来ました。

せっかくだから、漆の芽と比較して食べてみたいなと思ったら、
父親が漆の芽も摘んで来てくれました。
畑のネット張りの支柱にするために、余計な脇芽を摘んじゃうんですよ。
漆の若芽の天ぷらは、この時期にしか食べられないもので、
もちろん店に売っているものではなく、
あっという間に伸びてしまうため、いつも時期を逃してしまうので、
実は大学時代に食べて以来です。

夜は打ち合わせがあるから出かけないといけないのに、
摘んで来られてしまったら早く料理しないと美味しくないので、
慌てて天ぷらの準備です。
上が漆の芽、下がタラの芽です。
自然のタラの芽にはトゲがありますが、近年トゲがないものも栽培されているそうです。


 天ぷらにする前の漆の芽の下からはもちろん漆の汁が出ていますから、
当然、水で洗う時に手に汁がつきます。
かぶれる人は要注意です。

揚げる前は赤っぽい色が、揚げると緑色になります。

左下が漆の芽の天ぷら、右側と上がタラの芽です。
揚げてあっても容易に区別がつきます。

さて、肝心のお味の方ですが、
漆成分が微妙に舌に残りますが、それを除けば山菜と同じように食べられます。
最高の美味というものでもありませんが。

しかし、漆に弱い人は天ぷらにしてあってもかぶれるそうなので、
残念ながら家で食べられるのは私と父親だけです。
タラの芽の方は、ものによっては渋く灰汁が濃いものもあり、
1週間前くらいに頂いたものは苦くて食べづらかったのですが、
これはまあまあでした。

ゆっくり味わう余裕もなく、急いで出かけなければならなかったので、
きちんと盛りつけした写真を撮る余裕はありませんでした。

2015年4月18日土曜日

寒い春

今年の春は雨と強風で、桜もあっという間に終わってしまいましたね。
自分は先月末から急ぎの書類がどんどん続き、
悪天候もあって家から一歩も出ない日もあった程でしたが、
ようやく晴天が続いたこともあり、ちょっと外に出てみました。

先月末のお彼岸頃に蒔いた種は意外にも全然芽がでておらずがっかり。
しかし、漆の芽はあっという間にこんな感じに。

もう天ぷらにして食べるにはちょっと大きすぎ?

しかし、若い苗の方が葉の育ちは早いようで、
大きい方の木はまだあまり葉が出ていません。
近くで見ると怪獣みたいです。

一度強風で折れた木の育ちが比較的早いようです。

真ん中を飛んでいるのは飛行機です。
飛行機雲が出ないということは、空中湿度が低い証拠です。

今年の4月は記録的に日照時間が少なかったそうですが、
4月ももう後半、
ここからの挽回を期待です。

木賊の方は、まるで原始時代のような新芽がにょきにょきです。
こちらは生育が旺盛すぎて・・・

2015年4月11日土曜日

伊勢神宮にあった年号

地元のショッピングモールの懸賞の伊勢神宮日帰りバスツアーが当たり、
生まれて初めて行って来ました。
当たり、と言っても、応募した人が全員当選じゃないかという、
伊勢神宮の滞在時間よりも複数のお土産センター滞在時間の方が圧倒的に長いような
買い物ツアーに近いようなものでしたが、
それでも電車を乗り継ぎ、最寄り駅から歩いて行くよりはずっと楽ですし、
こういう機会でもないと一生行けなかったかもしれません。

ほとんどの方は伊勢神宮には何度か来られていて既に境内もご存じで、
お参りを済ませるとおかげ横町の方に行かれたのでしょう。
初めての私は集合時間ぎりぎりまで境内をうろうろしていましたが、
同じバスの方にはほとんどお会いしませんでした。

行かれた方はご存じと思いますが、内宮は手前から撮影禁止で、
境内もかなりの場所が「立入禁止」の札が立っており、
思ったより写真を撮れなかったのが残念でしたが、
それでも珍しいものはないかと観察していたところ、
「風日祈宮」という別宮に行く橋の欄干にある擬宝珠が目に入りました。
お、銘が書かれているようです。

嘉永6年に作られたもののようです。
「奉行 嘉永六癸丑年 六月吉祥日 山口丹波守 源正信
御鋳物師 蛸路住 常保河内作」

同じ橋の欄干の反対側は色も形も違います。

こちらの擬宝珠の方がまるい感じです。

「太神宮 風宮 五十鈴川御橋 明応七年 戌午
本願観阿弥 敬白」
  と、こちらの銘には明応7年とあります。
銘の彫り方もですが、宝珠部分に銘を入れるというのも珍しいような。

最後に、最初に渡った宇治橋も見てみました。
「天照皇太神宮
御裳濯川 御橋 元和五己未年 三月」
と、こちらは元和5年の作です。

恥ずかしながらこれらが西暦何年にあたるのかさっぱりわからないので、
後で調べてみたところ、
明応7年 (1498年)
元和5年(1619年)
嘉永6年(1853年)

と、風日祈宮の手前の右側にの擬宝珠はなんと室町時代のものでした。
こんな古いものが屋外にきちんと残っていることに驚きです。
擬宝珠の形状ももちろんですが、
それぞれの時代で、金属の配合割合も違うんでしょう、
大変興味深いです。

2015年4月4日土曜日

地元の新素材

来月、地元で開催されるイベントの打ち合わせで、
地元の革工房さんを訪ねていたところに、お客さんがひとりいらっしゃいました。
隣町で、自分で仕留めた鹿の毛皮を使って座布団を作りたいので、
道具が欲しいとのこと。
毛皮はネットで調べて自分で処理をして作られ、
以前お仲間は自分で捕った鹿の皮を使って財布を作られたのだとか。

うちの地元ではここ数年鹿の食害が顕著で、
去年までは個人で自分の畑にネットを張って防いでいましたが、らちが開かず、
ついに自治会で山の方にネットを張り、ようやく被害がなくなりましたが、
山にはかなりの鹿がいるため、地元猟友会の会員が駆除をしているそうです。

駆除した鹿は、役場に尻尾を持って行くと駆除代金が支払われるのだそうですが、
鹿本体はどう使おうと自由なのだそうです。
しかし、冷凍保存できる肉を取るだけでも大変で、
皮や骨はみんな山に捨てちゃうのだとのお話に、
「なんて勿体ない!」

しかし、普通の家で獣の皮の処理をするには、匂いや脂や血やいろいろで
場所と道具がなければなかなか難しいです。

小さめの鹿の毛皮をご自分で調べて処理をしたという実物を
わざわざ見せて下さいました。

革工房の方によれば、鹿の毛は中空のパイプ状になっているので、
毛皮として使うには毛が折れてすぐになくなってしまうので、
敷物として使うのが一番いいでしょう、とのことでした。

子供の鹿らしく、毛はなかなか柔らかかったです。

この隣町の方によれば、皮から脂肪を取り除くのは、
高圧洗浄機を使うのが一番簡単だと。
しかしその後、明礬で処理されたという皮はかなり薄くパリパリしています。
印伝などに使う鹿皮はもっと厚いので、違う種類の鹿じゃないかという話です。
ちなみに、革工芸の店で扱う鹿皮はヘラジカのような海外の巨大な鹿の皮だとか。

この方、雄の角でキーホルダーや飾りも作られていました。
雄は雌5頭に対して1頭の割合でしかいないので、
角はそんなにたくさんは入手できないけれど、
金槌の柄にしたり、お仲間それぞれがいろいろなものを作られているそうです。

鹿の角が頭蓋骨にくっついている部分です。
こんなふうになっているとは、初めて間近で見ました。

勢いで、鹿の角を切ったものを頂いてしまいました。
微妙なカーブが手に不思議に馴染みます。

鹿の角を焼いた粉は漆の仕上げ磨きに使うという話もするのを忘れるほどでした。

冬の駆除シーズンは既に終わったけれど、
またこの冬以降に捕れたらいろいろ利用できそうだね〜
と、思わぬ話題で盛り上がりました。