2016年3月22日火曜日

インド調査2016(10)着飾るラクダと塩の沙漠

さて、塩を求めての移動ですが、
せっかくここまで来たので、
この一帯を見渡せる場所に寄ってからということになりました。
そこには私の大好きなラクダがいました。

カイロのラクダはうっかり写真を撮るとお金を請求されますが、
ここはそんなことがないそうで、安心して近づいて写真が撮れました。





パッチワークの布の模様や飾りで
遠目でもラクダの区別がつきます。

さて、山の上から見たRunn of Kutchです。
この先の海のように見える部分が、乾季になると全部真っ白に乾くのだそうです。
左手の方は既に乾きはじめているので白っぽく見えます。
左手にうっすら見えるのが、パキスタンと唯一つながっている橋だそうです。

自然の岩が四角く割れているのも興味深いです。
切り出して石垣にすぐに使えそう。

しかし、ここでは塩は取れそうにないので、
既に乾いている通称White Runnに向かいます。
だだっ広い何もない平原をとにかく車でひたすら走り、
ようやくリゾートの建物が立ち並ぶ場所を通過し、
手前で通行許可証を確認されてから、徒歩で向かいます。

なんだか人が集まっています。



なんとインド陸軍のラクダ部隊の公開演習でした!

砂漠の中で、こんな感じの幕が舞台裏となります。
左手は音響さん。

着替えの後はジムナスティック演習です。

よく訓練されていますね。
ラクダの顔が楽しそうなので、真剣に思えないのですが、
パキスタン国境地帯での有事の際には、
このラクダ部隊が砂漠を走って駆け付けるのだそうです。

デモンストレーションが終わって整列。記念撮影のサービスです。



誇らしげなラクダです。
乗っている兵隊さんが「ラクダは世界で一番美しい動物だ」と。

ラクダの飾りもそれぞれ違うようです。
ラクダ毛の絨毯にはどの毛を使うのかなあとか、
昔はこれらの布や糸は何で染めていたのかなあとか
いろいろ考えてしまいますが、
塩を取りにいかないと日が暮れてしまいます。

この先をさらに歩いて行くと、やっと塩らしくなってきました。

足跡もできていますが、このあたりはまだ完全に乾いていないからダメだと言われます。

さらに歩きます。
最初は褐色だった地面が、

やっと真っ白に。

微妙に湿っているのは塩以外の不純物のせいかと思います。
雨季にはおそらくボリビアのウユニ塩湖みたいになるんでしょうね。

ここの日没が美しいため、この時間に来る人が多いそうです。
まるで異世界ですね。

日没後少しで出入り口が閉鎖されるため、足早に出口に向かいます。

道の左側のこんな塩の結晶部分も持ち帰ろうとしたのですが、
なぜか左側はこの塩層の下にぬかるんだ泥層があって、
うっかり踏み出すとズボッと足を取られてしまい、
もちろん裏側にも泥がついていて、
きれいな状態の塩を取ることができませんでした。

さて、肝心のアルカリ度ですが、
インド国内の水の不純物の度合いがわからないため、
日本に帰国してから純水に溶かし、pH試験紙で測定しました。
しかし、残念ながら予想を大きく覆し、道の左右ともほぼ中性という結果に。
う〜ん、アルカリを期待するなら、もっと内陸部でないとダメなんでしょうか。

ちなみにここの塩は工場で精製されて食用や工業用に加工されているそうですが、
陶器の塩釉としての利用などはないようです。


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この調査は科研費の助成により行われました。

2016年3月19日土曜日

インド調査(9) 泥の家と刺繍布

tインド・グジャラート州のカッチ地区のパキスタンとの国境地帯は
一部だけが地図上で湖になっています。
しかし、この湖の一帯は雨季と乾季では水量が全く異なっていて
雨季には湖、乾季には塩の平原ができるのだそうです。
ここ数年、天然のアルカリがどこかにないかと探していることもあり、
1月末の時点で干上がりつつある湖に連れて行ってもらうことにしました。

ラック塗装とRogan ArtのNirona村からさらに北に走ると、
もう蓖麻の畑もなくなります。
北回帰線がここを通っているという標識です。

何もいなそうに見える平原にも、動物がいます。


牛や

羊も。ちゃんと人がいます。
この先にもまだ村がいくつかありますが、
国境にさらに近づく、ここから少し先のチェックポイントで料金を支払い、
通過証明を出してもらいます。

そして、チェックポイントの少し手前のBhirandiaraというところに
土作りの家の村があります。


右手にいるのが村長さん。
家の中も見せてもらえます。
彼らの服と同様に、鏡の破片が壁に埋め込まれています。

家は、日干しレンガを積んだ簡単な構造のようです。

ゆりかごまでこんなに綺麗に作られています。
ここにもミラーワークが。

ビーズ細工をしている女性もいました。

つまり、ここも観光名所になっていて、
自分たちがつけるものでなく、お土産物を作っているわけです。

ということで、村の入り口すぐ左手一件は完全にお土産物屋さんになっていました。
先ほど横でお昼を食べていた若い男性が「自由に見て行って」というので、
この家には人は住んでいないの?ときいたところ、
夜はお爺ちゃんが寝ているという返事。
お爺ちゃんとは先ほどの村長さんです。

お土産物に隠れて、こんな家具もありました。
おばあちゃんの代から使っているものだそうです。


木の上に泥を盛った上に白土を塗っているようです。

運転手のDさんが「買わなくてもいいからラック染めの古い布を見せてもらうといいよ」
というので、横に積まれている古い布を見せてもらいました。

最初はこういった新しそうなものを出してきましたが、
「ラック染めらしいもの」と指定したら、赤系を出してくれました。


ラックで染められていそうな部分も確かにありますが、
それにも増して、手の込んだ細工に圧倒されます。



もちろん全て手作りで、裏地も古い布を利用しています。




とにかく、細部を見始めると面白くて、
時間がいくらあっても足りません。
後ろ髪を引かれながら村を後にすることに。

 Dさんは大通りの店まで行きたいというこの古布屋の男性を車に乗せてあげました。

商店街には全身紫をまとった人が。
ラック染めだろうかと興味津々。


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この調査は科研費の助成により行われました。