2013年7月20日土曜日

陶器のない文化

暑中お見舞い申し上げます。
暑いので、少し涼しい地方の話題をお届けします。

2000年に友人の陶芸家の個展の荷物運び手伝いという名目で
アバディーンからフェリーでシェットランドまで行きました。



シェットランドと言うと、日本ではシェットランド・シープ・ドッグが有名ですね。

実際、人口の数倍の羊がいるそうです。
実は、友人のお姉さんは昔、ご主人のお仕事の関係で
シェットランドに住んでいたことがあり、
当時も野菜の値段が高く、トマトを家で栽培していたものの、
常に風で倒されて、育てるのもなかなか大変だったそうです。

我々が行った時にはTESCOというイギリス最大手スーパーの店舗があり、
ようやく野菜の入手が楽になったらしいですが、
本土より値段がずっと高かったです。

このスーパーの近くにも有名な3000年前の遺跡がありました。
前日アバディーンのスーパーで買ったサンドイッチと飲み物を持って行って
そこで朝食を食べ、夜明けを見ました。
Clickmin Brochと言います。

フェリーが着いたのは早朝だったので、まだ暗いです。


紀元前にこんなところに人が住んでいたというのも大変不思議です。
おそらく気候条件も違っていたでしょうが。

シェットランドはイギリス領ですが、距離的には北欧に近く、
バイキング文化の影響を多く受けています。
そんなわけで、遺跡マニアの友人が、せっかくなのでガイドツアーに参加しようと言い、
翌日、地元の個人ガイドさんの車で半日ツアーをしました。

シェットランドが好きで移り住んで来たという女性のガイドさんでした。

最初に行ったのがCatpund Quarryという場所です。

石だらけで、何がなんだかわかりませんが、
このほとんどが、Soapstoneと言われる柔らかい石なのです。


実は、バイキングは鉄器を作る文明は持っていたのに、
陶芸文化はありません。
その理由は、このSoapstoneが柔らかく、鉄器で彫るのにも適しており、
調理をする鍋や皿を作っていたのだとか。
Soapstoneは熱すると硬くなる性質があるので、
石鍋としてもフライパンとしても使えるのだそうです。

現場で拾った石です。
右下2つが加熱前のソープストーンで、その他は加熱後のもののようです。

あれ、木が生えていない島で火を燃やす燃料はどうするの?
と疑問を持たれるかもしれませんが、
シェットランドのほとんどは、枯れたエリカなどの植物が長年堆積してできた
「ピートpeat」に厚く覆われており、
住民はこれを切り出して燃料にしているそうです。
日本では土壌改良材のピートモスとして輸入されている、あれです。

エリカはツツジなどの仲間で、枯れて堆積していても酸性が強いため、
生える植物も自ずと限られてしまい、
強風の影響だけでなく木がなかなか育たないのだそうです。
もちろん、自然保護のため、切り出すエリアと量はちゃんと決まっており、
勝手に好きなところから取るわけにはいかないとのお話でした。

ピートで料理くらいはできますが、
焼き物を焼く程の熱量はさすがに無理ですね。

Soapstoneは別名Steatiteともいい、
加工がしやすく、様々な色もあるため世界各地でさまざまな細工物に使われています。
検索をかけたら、流し台の画像が大量に出て来ました。(笑)
エジプトのスカラベなんかもそうなんですね。

また、最近日本では、溶けない氷として、
冷やして飲み物に入れるという商品が販売されていることがわかりました。
いろいろな利用価値がありそうです。

羊だけでなく、シェットランド・ポニーという子馬もいましたよ。

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