2013年7月15日月曜日

草木染ゆかりの地で1

週末は東京から、高崎まで足を伸ばしておりました。

高崎には、「草木染」という名称を最初にお使いになった、
山崎 斌(やまざき あきら)先生のご子息、
山崎 青樹(やまざき せいじゅ)先生が
1956年に草木染研究所を設立されたことがご縁で、
高崎市染料植物園という施設が運営されています。
http://www.city.takasaki.gunma.jp/soshiki/senryou/

草木染に使われる植物の多くが、山崎家よりこの植物園に寄贈されたそうです。

現在「草木染」という言葉は当たり前のように使われていますが、
実は、合成染料が主流となってしまっていた昭和4年に、
元々は文学者であった斌先生が、
自然素材の染料を用いた染めを「草木染」と命名し、
故郷の松本に信濃手工芸伝習所を設立、
翌年に銀座で「草木染手織展覧会」を開催したことで、
草木染が世間に再認識されるきっかけとなったのです。

昭和7年に「草木」は登録商標となりましたが、
他の方がその名称を用いてもほとんど抗議することもなく、
広辞苑に「草木染」が含まれたことをきっかけに、
商標権を放棄されたそうです。

現在はお孫さんである山崎和樹先生が、川崎で「草木工房」を運営されておられます。

山崎家3代についてなど、これらのページに詳しく書かれています。

余談ですが、実は植物や天然素材を使った染めは
欧米ではほとんど行われていません。
合成染料が早い時代から普及しすぎてしまったからだそうです。

染料植物園は、有名な白衣観音のある観音山にあります。
高崎駅からはバスかタクシーで、山を登っていきます。

園内には染織品の展示室、体験工房、植物園、温室の設備があり、
かなり広いです。
現在開催中の展示は、「草木染の美 夏」と、
高崎市タワー美術館との共催の、虫由来の染料をテーマとしたものです。
http://www.city.takasaki.gunma.jp/soshiki/senryou/topics/topics.htm#kusanatu

今月は、体験講座でラック染めをしています。
来月はコチニール染めです。

展示室には、3種類の虫由来の染料の展示がありました。
(注:展示室内の写真は全て許可を得て撮影したものです。
展示室内の写真の無断転載はご遠慮下さい)


中央に置かれているのはラック染めの絹の反物です。
以前、ブログでもご紹介しましたが
正倉院にも「紫鉱」として収蔵されている、ラックカイガラムシの分泌物に含まれる
赤い色素を用います。
これは天然染料の中では耐候性、耐光性に優れており、
お坊さんの衣にも用いられていました。

展示されている反物は、青樹先生が染められたものだそうです。

コチニール(Dactylopius coccus)も、カイガラムシ由来の色素です。
主にメキシコのウチワサボテンにつくカイガラムシです。
ラックカイガラムシは分泌物から色素を採取しますが、
これはカイガラムシ本体を乾燥したものから色素を抽出します。

日本でも染料店で乾燥した虫が販売されています。

ラック色素やコチニール色素は、食品添加物としても用いられています。
イチゴ味のお菓子や飲料、あんこ類を食べることがあれば、
是非原材料表記をご覧になってみてください。
(近年アレルギーの問題で少々話題になりましたが、
あれは、虫由来のタンパク質が原因になっているらしく、
ちゃんと精製してあれば大丈夫だそうです)

五倍子は「ごばいし」とも「ふし」とも言います。
これは、ヌルデに虫が寄生することによって、ヌルデが作る虫瘤です。
タンニン酸が多く、鉄を加えると黒く反応するので、
お歯黒の材料としても使われていました。
植物園のある山にあるヌルデにも以前はよくついていたそうですが、
最近は見つからないそうです。
ラックやコチニールは人工的に養殖されていますが、
五倍子は自然にあるものを採取するだけのようです。

展示室には、これ以外の草木染めの素材、染められた糸と解説が、
引き出しに入って自由に閲覧できるようになっていました。
草木染めは紫外線に弱いため、長時間光にさらされない展示方法として
よく考えられているなと思いました。

これは日本茜です。
根の部分のみを用います。
ラックやコチニールの赤色とは違いますね。

隣の大きな展示室には、草木染めの着物や、反物が展示されていました。


このタチアオイの赤はラックの色だそうです。




山崎青樹先生が、延喜式の処方に沿って復元されたという、
様々な草木染の反物です。

草木染の作品の展示は退色を防ぐため、照度がかなり低く押さえられており、
写真もあまりはっきり撮影できずすみません。




着物の襲や、鎧の縅の色目など、いろいろ勉強になります。

1度ではご紹介し切れませんので、数回に分けます。

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