以前、額縁などの立体加飾方法「コンポ」の作り方をご説明しましたが、
今回は、ガラスへの金箔の貼り方をご紹介します。
ヴィクトリア時代によく使われた、こういう金文字の看板です。
用意するのはガラス、金箔、ガラスをきれいにするメタノール、
箔をガラスに貼り付ける接着剤として
粉薬を入れるゼラチンカプセルの透明なもの。
これは、純度が高いゼラチンで、透明なガラスに箔をぴったり貼り付けるには
兎膠などではダメだそうです。
なので、ギルディング用品を販売するお店では、
ちゃんとゼラチンカプセルが売られているのです。
(これが結構高い)
まずは、ガラスをメタノールできれいに拭きます。
メタノールを使う 理由はエタノールより油分を取る力が強いということですが、
ゴム手袋と防毒マスクが必要かと思います。
この先生は根っからの職人さんなので、そういうことを構わない方でした。
金箔を使う作業のため、換気扇も回せず窓も開けられず、
おかげでこの日の午後から体調が悪くなり、翌日から2日間学校を休みました。
ゼラチンをお湯で溶いて濾した液をガラスに均一に塗ります。
これが結構難しい。
ゼラチン液が乾燥しないうちに金箔を貼ります。
ヨーロッパの金箔は、右側のLoose(薄い紙のノート状になったものに箔が挟まっている)左側のTransfer(裏の紙に蝋で仮止めされている)の2種類があり、
この場合はLooseを使います。
金箔が挟まったノートを持って、鹿皮でできたギルディングパッドの上に金箔を載せ、
箔の皺は息を吹きかけて平らに伸ばしておきます。
そして、ギルディングティップで箔を運びます。
さすがに先生は金箔一枚を一気に貼ってしまいます。
空気の入ったところや角をちょいと押さえてます。
日本では貼った箔を押さえるのには真綿を使いますが、
イギリスでは脱脂綿を使います。
そして、そのままゼラチンが乾くのを待ちます。
自分は1枚全部を一気に貼れないので、こんなつぎはぎになってしまいました。
貼る時、手が疲れないように上に渡し板を使うと便利だそうです。
日本から持って行った虹彩箔を貼ってみました。
金箔より厚みがあるのであまりきれいに貼れませんでした。
あ、もちろんこれは裏なので、表はガラスを通したぴかぴかの状態が見えます。
この技法をVerre égolomisé(ヴェッレ・エゴロミゼ)と言います。
フランス語ですが、英語でもそういう呼び名です。
乾燥してから金箔をひっかいて模様をつけることもできます。
良い見本の写真がないかと探してみたのですが見つからないので、
見つけ次第ここにアップします。
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