2013年7月4日木曜日

リーチのRAKU

ウエッジウッドなどのメーカーでも有名なイギリスは陶芸が盛んです。
やきものを作るのに適した土がイギリスの各地で取れたのが理由のひとつです。

1980年代にロンドンの美術学校に短期留学をしていた時、
ほんの少々、イギリス風の陶芸をやらせてもらいました。

まず驚いたのが轆轤の回転方向が日本と逆で、ものすごく作りにくかったことと、
磁器用の土は中国から輸入するためにとても貴重で、
磁器用の土を使った場合、手を洗う専用バケツが横に置かれていて
そこで手を洗って、沈んだ土は再利用する、というルールがあったことです。
短期お試しの我々は、磁器用の土は使わないように言われました(笑)

短期間のうちで一番面白かったのが、「リーチ風RAKU」です。

「楽焼き」と言うと、京都の楽家の焼き物か、
小学生などの陶芸体験の楽焼きを連想していましたが、これはちょっと違います。
(※当時のフィルム写真をスキャンしたので画質が落ちます)

まず、作業者は耐火用の皮のジャケットと手袋、防護マスクで完全防備です。
皮ジャケットはめちゃくちゃ重く、これだけでも体がうまく動きません。
素焼きをした器物を、屋外に設置した窯で赤くなるまで熱したら、
トングで挟んで取り出します。

おがくずを入れた金属の容器の中に素早く入れて、
急いで上からおがくずをかぶせます。
(これは、日本だと籾殻で出来ます)

そして、素早く蓋をしてしばらく置いておきます。
適当な頃に蓋をあけて取り出し、
トングで挟んですぐに横にある水を入れた桶に入れます。

水の中で冷却です。
器が熱すぎるうちに水に入れると割れるし、あまり大量の水でも駄目のようで
このあたりの見極めが難しいようです。

水がぼこぼこ湧いています。

器を水から出し、水をスプレーして、ゆっくり空気中でさまします。

と、ここまでは他の人の作品製作の様子ですが、
いろいろ作業をしながらだったため、前後の写真を一切撮影していませんでしたので、
私の作品(?)で「焼成前」「焼成後」をお見せ致します。

素焼きの状態

RAKU後

素焼きの状態

RAKU後

素焼きの状態

RAKU後

と、同じ工程を経たにもかかわらず、何故か白いままと、
窯変の虹色と2通りの仕上がりになってしまいました。
(釉薬はかけておらず、おがくずが燃えた灰が自然釉となっています)
酸化還元が蓋の閉め方の差で変わってしまったのでしょうか。

さて、ここの学校の当時の陶芸コースは、発想が自由で大胆な人が多く、
大変面白かったのですが、残念ながら数年後に閉鎖されてしまいました。


器を作る人だけでなく、


オブジェを作る人達も多かったです。


今もそれぞれが皆活躍しているのだろうなと思います。

ちなみに、バーナード・リーチのセント・アイヴスの窯が
日本人の協力も得て修復され、美術館とギャラリーを併設し見事に復活しています。


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