2013年7月18日木曜日

草木染ゆかりの地で(おまけ)

さて、染料植物園を見終わった後、日本絹の里に行きました。
一日でここまで回ることができたのも、車を出して下さったNさんのおかげです。
ほんとうにありがとうございました。

群馬県立日本絹の里は、高崎あるいは前橋駅からバスで30分の郊外にあります。

こんな郊外に施設がある理由は、
ここに県の養蚕試験場があるからなのだとか。
群馬県は現在も全国一の絹の生産地であり
この施設の裏には、蚕の餌のペレット工場もあるのだそうです。

絹の里の入り口にあった、珍しいしだれ桑の木です。
普通の桑の木も、この近くで栽培されていました。

中には、群馬県の養蚕の歴史、蚕から織物までの工程、
群馬の絹織物、養蚕に使われた器具や資料類、
絹についての情報コーナーの他、
特別展で伊勢型紙と江戸小紋の展覧会が開催されていました。
特別展は写真撮影ができませんでしたので、
その他のコーナーを写真でご紹介します。

これは群馬の養蚕農家の家の模型です。
養蚕農家は蚕のことを「おかいこさま」と呼び、
屋根裏の涼しい場所で、数時間おきに食べ残しの桑の葉と糞を掃除し、
新鮮な桑の葉に入れ替えて、様子を見ながら大切に飼っていました。
蚕が桑を食べる音がまさに大雨が降るかのごとく
夜も響いていたそうです。

蚕の世話をする様子の人形です。

生糸を引き、綛に糸繰りをする様子です。

結城紬で使われる腰機と、糸つむぎの様子です。

これは、「清温育」の蚕室の模型です。
火気を使った保温と、天窓での換気により、寒くなってからも蚕を飼うことができ、
養蚕農家の収入も増えたそうです。

そして、自然の風穴を利用し、蚕の卵を保管していたそうです。

昔使われていた座繰り器です。


八丁撚糸機。糸によりをかける機械です。

繭の現物です。

これらは模型なのですが、

なんと、本物の生きた蚕が!!!!
虫が苦手な方はこのあたりは厳しいかも。
我々の行った時間には、お腹が一杯だったのか、
みんな全く動かず、模型のようでした。
ちなみに、餌はこの建物の裏の工場で作られているペレットだそうです。
桑の葉をいちいち摘んで替える大変な手間がかなり省略されているのでしょう。

さまざまな蛾とそれから作られる糸です。
天蚕、野蚕と言われる蛾はかなりの種類がおり、それぞれ質感も違います。
ブータンの漆の木は、2年前エリ蚕の大発生でかなり被害を受けていましたが、
考えてみたらその後繭を取って糸にするという方法もあったんですよね。

で、こんな巨大な繭も???

群馬県では現在も蚕の品種改良が行われていて、
さまざまなオリジナル繭が作られているそうです。
蚕蛾は、人間に飼われている期間が長すぎて、
羽はあっても飛べない昆虫となってしまいましたが、
今も人間の手でいろいろ改造され続けているのかと思うと、
ちょっと複雑な気持ちになります。

絹のものしりコーナー。
琵琶だけでなく三味線の弦も絹ですね。


これは、絹の最新製品のひとつ、山形県で開発された、その名も「鷹山」です。
シャリシャリ感が夏向けという感じで、なかなか良かったです。
さすが山形、紅花も使っていました。

伊勢型紙と江戸小紋の特別展は、伊勢型紙や小紋染めの道具いろいろの他、
職人さんの作業の動画もあり、なかなか見応えある展示でした。
残念ながら帰りのバスの時間の関係でゆっくりすることができませんでしたが、
また機会があったら行ってみたいです。

ところでたまたま高崎に来る前日に、
偶然ネットで明治時代の職人さんの写っている写真を見つけており
その中の多くが、製糸工業関係だったのです。
(写真は全て左右が逆だったので反転しました)


桑の葉摘み

蚕の世話

繭集め

繭の選別と計量

座繰り

糸の検査?

糸の梱包?

機織り

ここからは大規模工場になります。
生糸引き

綛繰り

糸巻き

人力織機

自動織機

100年前に既にこんな感じだったのですね。
今も織物工場は一番下の写真とほとんど変わらないと思います。

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