中国国家博物館には数多くの素晴らしい作品があります。
そういった名作はいろいろな印刷物などに出ているかと思いますので、
いちおう「工藝素材研究所」のブログということですから、
普段はあまり図録に出ないような物をご紹介します。
これは、商前期(紀元前16−14世紀)の青銅器の鋳型です。
「陶」と書いてあるので、焼き物でできた型のようです。
青銅器を鋳込む時の型の説明図もちゃんとありました。
これは同じ時代の鏃の型。
これは同じ時代の刃物の型。
で、これは二里頭文化(紀元前2100-1800年頃)の石製の型。
陶製や石製の型ということは、再利用をしていたということでしょう。
こちらは四角い製品を作る型の図です。
図はかなり単純化して描かれていますが、
紀元前に既にこんな複雑なシステムが完成していたことに驚きです。
これは周(紀元前11世紀〜紀元前771年)に作られた「利」という青銅器です。
こんな型からは
こんな人形が量産されていたということでしょうか?
(型の方が時代は古いです)
有名な陶俑もどうも型があったようです。
商時代の陶製のるつぼも展示されていました。
「陶器のるつぼや鋳型」に疑問を持たれる方もおられるでしょう。
青銅は銅とスズの合金で、鉄より溶解温度が低いのです。
スズが30%程度なら溶解温度が700℃程度ということですから
陶器でできたるつぼや型も割れたり溶けたりしないのです。
鉄の溶解温度は純粋なもので1535℃、
炭素などの不純物を含む鋳鉄で1200℃程度ですので、
陶器のるつぼや鋳型は青銅だからこそ可能なのですね。
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