2013年9月10日火曜日

黄河の羊皮の・・・

今回訪問したのは、中国国内でもムスリムの多い地区です。
昔、日本ではイスラムを「回教」と呼んでいましたが、
中国の少数民族「回族」の信仰する宗教、という意味でした。

ムスリムは豚は食べないので、ムスリムの多い蘭州を中心とした地区では
豚でなく牛でスープを取る「牛肉麺」が有名ですし、羊もたくさん食べます。
もちろんそれらもハラールというお祈りをして屠殺しますので、
その方法で屠った肉を使った料理は「清真」と表記され、
「清真料理」の店は緑色の看板が出ていることが多いです。

さて、その蘭州と言えば町の中心を流れる黄河です。

実は、先に訪れた北部の銀川市の
黄河の最も上流だから水がきれいだと言われた場所でも、

既に黄色っぽい色がついていて、川底も見えませんね。

そこから下流の蘭州ではただの泥水になっていました。

ここでふと、今回の調査の企画者のUさんが、
「そういえばここで昔、関口智宏が羊皮のボートに乗ってたのを
NHKの番組で見たけど、今もあるのかなあ?」
とぽつり。

私を含め、他のメンバーはその番組を誰も見ていないため、
羊の皮で舟なんかつくっても水でふやけて沈んじゃうんじゃないの?
などと話していました。
私は、ウェールズの「コラクル」みたいなボートを想像していたのです。


そうしたら、なんとなんと、いました!
こんな水量が多くて流れが速い泥水の川で、
なんというチャレンジャー達!
さっそく望遠レンズで撮影してみたところ、

舟じゃなくて、これは筏です!
想像していたものと全く違いました。

皆さん救命胴衣まで着用なのに、
ピンクの日傘がなんとも呑気な風情を醸し出しています(苦笑)。
実際、かなりの猛スピードで下っていました

驚くことに、複数のグループがおります。

波の立ち方で、川の流れの速さが推測できるかと思います。
落ちたら救命胴衣をつけていたってかなり先まで流されること必至。

船頭さんは全く漕がないで、舵取りに専念です。
あれ、船頭さんは救命胴衣をつけていません!
そしてやっぱりお客さんはピンクの日傘。。。

とにかくUさんは実物を目の当たりにして大喜び!
さすがに乗りたいとは言いませんでしたが、
中国人の通訳さん達も「これで日本まで帰ったらどうでしょうか?」と大はしゃぎ。
中国人通訳さん達も見るのは初めてだったようです。

 翌日、白塔山公園内の「非物質文化財資料館」を見学したところ、
羊皮筏の現物がありました!

羊まるごと一頭分を、毛だけ処理して
首と足の穴を縛って浮き袋にしてつなげているとは。
確かに木より軽くて運びやすく、浮くことは間違いないです。
最初に発明した人の発想力に敬服です。

昔の羊皮筏の写真も展示されていました。
説明がなければ何だかわかりませんね。
(夜店の綿菓子のようにも見えてしまいます)

これだけぱんぱんに羊皮に空気を入れるには、
人間が吹いてふくらませていたのでしょうか?
そして、内側の肉やら内蔵はどのように取り出していたのでしょう?
驚いて細部をじっくり見忘れてしまっていて、
まだまだいろいろ謎が残ります。

ちなみに、青海省の博物館では羊皮紙に描かれた中国画も展示されていました。
紙があっても羊皮紙も一応作られていたのですね。

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