近年、水性ペンキが圧倒的に売れるせいか、
油性ペンキは市場からほぼ消滅しているそうで、
明治以降の近代建築を保存修復する際には、
海外の会社に特注で注文せねばならないという話を数年前に聞きました。
「ペンキ」という言葉は和製英語で、語源はオランダ語の"pek"だそうです。
英語では単に"paint"ですから(市販品はhouse paintとか書かれてます)
日本の塗料会社も「○○ペイント」という社名ですね。
日本の塗料会社も「○○ペイント」という社名ですね。
塗装工も画家も英語では同じ"painter"になるのはちょっとややこしいです。
しかし、油性ペンキと油絵具は元々同じ材料から出来ているのでしかたありません。
どちらも亜麻仁油、つまりリンシードオイルと顔料を混ぜたものです。
「亜麻仁」とは「亜麻の種」の意味です。
最近は健康食品として販売もされています。
リンシードオイルを熱したり(Boiled)
日にさらしたり(Sun thickened)
金属塩を加えることにより酸化が促進されて硬化が早まります。
そのため、さまざまなリンシードオイルが市販されています。
亜麻は英語ではflaxです。
種だけでなく、茎は繊維の「リネン(リンネル)」になります。
公共宿泊施設で「リネン室」という部屋を見かけることがありますが、
シーツとしてよく使われていた素材です。
(日本のシーツは主に木綿ですが)
(日本のシーツは主に木綿ですが)
大麻(hemp)から取る麻とは植物からして違うものですが、
日本ではどちらも麻として扱われてしまいがちです。
種も茎も使えるだけでなく、花も愛らしく美しいのですが、
残念ながら日本では北海道くらいしか栽培に適している場所がありません。
残念です。
昔、「亜麻色の髪の乙女」という曲がありましたが、
それにまつわってもう1つ、
「琥珀」をドイツ語で"Bernstein"と言います。
有名な作曲家の名前と同じです。
Bernsteinの語源は「ベレニスの石」、
ギリシャにベレニスという亜麻色の美しい髪の女性がいて、
彼女の夫が戦争に出かける際、彼女はその美しい髪を切り、
神様に捧げたところ、それが「かみのけ座」になり、
彼女の髪の色と同じ石、琥珀がBernsteinになった、というものです。
実は、「ニス」の語源は「ワニス」
そのさらに元の"varnish"(英語)、"vernis"(フランス語)、
"Firnis"(ドイツ語)、"barniz"(スペイン語)の語源も
"Firnis"(ドイツ語)、"barniz"(スペイン語)の語源も
この「ベレニス」だということです。
というわけで、varnishは元をたどれば「亜麻色の塗料」というだけでなく、
琥珀で作られていた、という流れになるとまた長くなりますから、別の機会に。
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