ブータンのティンプーに、Jungshi Paper Factoryという紙製造販売の工房があります。
1980年代に島根県の旧三隅町(現浜田市)が、ブータンの研修生を受け入れ、
その後JICAの援助なども得て、そこで勉強した人達が紙を漉いています。
建物の外には、昔ながらのブータン手漉き紙製作の木枠が並んでいますが、
中に入って驚くのは、日本の和紙工房とまったく同じ機材が並んでいることです。
中では日本語の話せる人が出て来て日本語で解説をしてくれたりもするので、
ここは一体どこなんだろう?という気分にもなります。
さて、ブータン紙の原料は「ダフネdaphne」と言う
ジンチョウゲ科の植物の靱皮繊維です。
現地では「デカ」(白)と「デナ」(褐色)と2種類に分けています。
皮はまず水に漬けられます。
かなり「あく」が強い感じですね。
柔らかくなった皮からゴミや堅い部分を手で取っています。
これも日本の和紙と同じです。
これが、デナを叩解した繊維です。
昔は人力で木槌で叩いていたのでしょうが、
ここにはなんと、ホランダービーターまであって驚きです。
漉いた紙は水切り後にさらにプレスをかけて水を絞り、
中に熱が通った金属板に貼り付けて乾かします。
これも日本式です。
日本で覚えた落水紙+植物の民芸紙ですね。
隣接する売店には、200年前のブータン手漉き紙が展示されていました。
天然成分だけで作られた手漉き紙は今でもほとんど変わらず残っています。
紙は、昔から経典を印刷するのに重要でした。
今年から、浜田市との和紙交流が再開するとのことです。
伝統を取るか、品質とバリエーションを取るのかでなく、
両方を存続させて欲しいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿