日本人なのに、Japan Waxというものを最初に見たのはイギリスでした。
高級蝋ということで、専門の材料店にいくとちゃんと売っていたのですが、今、確認のためにオンラインショップで探してみたらリストから消滅していました。
そりゃ、日本でも手に入れるのが大変なのだから、当然でしょう。
これはハゼの蝋らしいです。
さて、先々週に、近江の和ろうそく職人さんが語る会というのに参加して参りました。
その職人さんの作業風景などは、こちらで動画が見られます。
日本では西日本ではハゼ蝋、東日本では漆蝋を使って和蝋燭が作られていましたが、今は漆蝋がなく、東日本の和蝋燭屋さんで扱っている商品もハゼ蝋です。
(※上のリンクの和ろうそく屋さんでは米ぬか蝋の蝋燭なども作られています)
左から、蝋燭の芯になるある種の藺草を和紙に巻いた芯、それの束、そして、ハゼの実です。このハゼの実はわざわざ長崎から買っているそうです。
左2本が和ろうそく、右の3つが石油パラフィンの蝋燭ですが、炎の違いがおわかりになるでしょうか?
さて、会津磐梯山の麓、福島県耶麻郡猪苗代町の野口英世の生家のすぐ傍に
「会津民俗館」という施設があります。
ここに、国の重要有形民俗文化財に指定されている昔の製蝋小屋があり、
中にはこんな道具が。
蝋を絞る「ドウ」という器具と、漆の実を搗いて、実から種を取り除く臼。
蝋分の含まれた果肉部分を蒸す竈。
第1展示室には製蝋道具や蝋燭作りの道具が展示されています。
巨大な漆蝋の塊、そして、蝋燭作りの道具です。
蝋を手で何度もかけて太くしていったのですね。
彩色を施す道具材料です。「赤い蝋燭と人魚」を連想させます。
会津の絵蝋燭というのはこうやって作られていたのですが、
今では漆蝋を取る人はいません。
現在、漆の実は一部を、まさに「話の種」としての漆コーヒーに使うくらいで、
ほとんどは見向きもされず捨てられています。
しかし、蝋燭ができるくらいの量の蝋を取るためには
かなり大量の実が必要となりますから、現在の漆の生産量の減少ぶりからしても、
復元する量の実を採取するには効率としてかなり悪いです。
この民俗資料館、母屋が国の重要文化財というだけでなく、
これら製蝋資料など、日本でもここだけしかないという貴重な品が
多くあるにもかかわらず、案内してくださった地元の方によれば、
野口英世記念館には観光客が大勢来るのに、
ここまで来る人はほとんどいないのだそうです。
お近くに行かれたら是非寄ってみてください。
余談ですが、翌年会津市内で和蝋燭屋さんを見つけて
漆蝋の蝋燭について質問をしてみたのですが、
スパイと間違われたのか、詳しいことは何も教えてくれませんでした。
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