先月末に姫路に行って来ました。
目的は、世界でもここでしかやっていない「川晒し」という方法で脱毛した生皮から
太鼓皮を作られている現場の見学です。
2月に初めてお目にかかった時の「是非見に来てください。」という社交辞令を真に受け、ほんとうに見学に行ってしまいました。
こちらのお店です。
通常、生皮の脱毛処理には日本も海外も石灰や薬品(日本では糠漬けという方法もあり)が使っていますが、川に生皮を1週間から10日ほどさらしておくことで、
微生物の力により薬品を使わずとも毛が抜けるのだそうです。
当日は、小雨混じりの天候となりましたが、
無事に川まで入れる程度にとどまっていてくれました。
既に1週間前から漬けてあったのが、産地の違う牛の生皮3枚です。
雨などで川の水量が多くなりすぎると皮が流れてしまうので、梅雨に入ってしまうとできなくなります。なので、一年でも限られた時期のみの作業になります。
この姫路市内を流れる市川という川の水深、水量、水質などがこの技法に適していた、
と簡単に言ってしまえばそれまでですが、実際は、適度な水流の強さの場所を探すのにも
何度も試行錯誤を繰り返されたそうで、
せっかく漬けておいた皮を流してしまったこともあるそうです。
1週間から10日ほど川に漬けていた皮からは、面白いように毛が抜けます。
しかし、同じ日に漬けた皮でも、それぞれの質が違うために、するりと抜けるものと
まだ引っ張っても抜けないものがあります。
漬けすぎれば今度は皮が腐ってしまいます。
川から出しても良いかは、大﨑さんがそれぞれの毛を引っ張って判断します。
また、雨がひどくなると皮が流されてしまうので、
雨量によっては漬けた皮を川から一時的に出す作業もあります。
水を含んだ皮は十数キロにもなり、かなりの重労働です。
引き上げた生皮です。
この後、工房に戻り、生皮の裏を機械で剝いて平滑にしてから、脱毛処理です。
刃が潰してある「セン刀」という道具を使います。
カマボコという木の台の上に皮を広げ、上から下へセン刀を滑らせます。
皮の表面(銀面)を傷つけないような力の入れ方がポイント。
傷が入ると商品価値が一気に下がり、ここまでの苦労が水の泡ですが、
ここで生前に皮についていた傷なども見えてきます。
ご覧のように表面を滑らせるだけで毛がきれいに取れます。
匂いも、川のコケのような匂いで臭くありません。
この牛の毛は昔は絨毯などに使われたそうですが、
今では使い道がなく産業廃棄物だそうです。
今では使い道がなく産業廃棄物だそうです。
何か良い利用方法はないものでしょうか?
脱毛した皮は水で洗浄してから、特製の木枠に釘を使って張りつけます。
この時も、引っ張りすぎないのがポイントです。
木枠に張ってから、表面に残った毛を丁寧に除去します。
(黄色く見えているのはライトです)
このまま屋内で扇風機で風を当てながら、10日ほど乾燥して完成です。
実は、3月はじめに近江八幡で左義長祭りに使われる巨大な太鼓を見たばかりでした。
石灰処理と川晒しの皮の太鼓の音色も比較したいですね。
ちなみに、「皮」と「革」の違いは、なめしてないかあるかの差です。
今回は川、皮、革の3つの漢字の変換に、パソコンも右往左往してます(笑)。
(にわか勉強なので、間違った語句や表現があればご指摘ください)
大﨑様、ありがとうございました!
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