伊勢と言えば神宮。
今年は遷宮もあってさぞかし盛り上がっていることでしょう。
お恥ずかしながら私は生まれてまだ1度も伊勢神宮にお詣りしたことがありません。
2008年に鈴鹿市白子町に行って来ました。
目的は、伊勢型紙資料館です。
毎月第4日曜日には型紙彫りの実演も行われるというので、その日にあわせて行きました。
伊勢型紙資料館は、白子町の古い町並みの残る寺家地区にあった型紙問屋の
寺尾家の建物を修復して開館したものです。
近鉄の白子駅からも歩いて5分と、こういった施設の中では交通の便も良く、
入場も無料です。
修理前の寺尾家の写真です。
(館内の展示は撮影禁止なのですが、これは型紙彫実演のある裏の茶室に掲げてあり、
撮影しても構わないとの許可を頂きました。)
伊勢型紙とは、美濃和紙を柿渋を使って3枚貼り合わせたものを、特殊な道具を使って彫って、反物を染めるときの糊置きの型紙としていたものです。
江戸小紋をはじめ、全国で使われました。
美濃和紙と、美濃地方で取れる柿渋を使っているというのに、
美濃でなくどうして伊勢で?という不思議は、
この土地が江戸時代に紀州徳川家の御料地だったという理由があったようです。
と、歴史はさておき。
伊勢型紙の彫り方は大きく分けて以下の4種類があります。
1.縞彫(引彫)
2.突彫
3.道具彫
4.錐彫
これらの詳細は、
白子町の型紙屋のおおすぎさんのホームページに詳しく出ていますので、
こちらをご覧ください。
この日の実演は、突彫の野間得生さんでしたが、
他の彫りのご専門の方も後からいらっしゃっていろいろお話をしていただきました。
他の彫りのご専門の方も後からいらっしゃっていろいろお話をしていただきました。
野間さん、六谷さん、宮原さん、その節はありがとうございました。
道具彫り用の刃物です
楕円や花びらやダルマなど、特殊な形になっています。
この刃物の構造はこんな感じで、2つの鋼を糸で縛ってとめてあります。
切りくずは上の方から抜けるようになっています。
(この写真のみ、伊勢型紙のお店おおすぎさんで撮影)
職人さんはこのような鋼の型を使い、炭火で鋼を熱してこの上で叩いて
好きな形になったところで焼きを入れて道具を作っていたのです。
昔の道具彫りの刃物が引き出しに一杯ありました。
砥石の台も特製です。上の面だけ使うのですね。
突彫の野間さんの作業中の型紙と彫り台です。
渋紙5枚が動かないように紙紐で綴じてあります。
先端のとがった刃物で数枚を一気に同じ形に彫るためには、すべての切り口が垂直でなければなりません。台の穴の部分を利用することで、刃物を一気に下ろすことができます。
作業途中の様子です。最初の模様は古い型紙を使って写します。
渋紙は永久に使えるわけではありませんので、昔から人気のある模様は別の型紙に写されて彫られて使われ続けてきました。
縞彫のための定規です。
一気にきれいに筋を引くため、あえて真ん中をふくらませた薄い鋼の定規が使われています。真ん中を押さえつけることで、端まで均等に力がかけられるそうです。
この日はいきなりの通り雨がありました。
お屋敷もとても素晴らしかったです。
こちらでは、伊勢型紙技術保存会というものも活動されていて、全国から伊勢型紙の技術を学びたいという人が訪れているそうです。
保存会の皆さんが毎月交替で実演をされるのも保存活動の一環です。
伊勢型紙についてはまた後日書きたいと思います。
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