前回の最後には、象牙の代替品の「象牙椰子」をご説明しましたが、
では、鼈甲の代替品は何になるのでしょう?
ニトロセルロースと樟脳などから合成されたセルロイドは、
日本語版Wikipediaでは、象牙の代用品として開発されたとありますが、
実際は眼鏡のフレームや、手鏡の裏、万年筆の軸などの鼈甲風の製品に多く使われ、
(現在は燃えやすさからほとんど使われまていません)
(現在は燃えやすさからほとんど使われまていません)
代用象牙の方は、後で発明されたカゼインプラスチックの方が多く使われていますね。
日本の象牙風印鑑のほとんどがカゼインプラスチックだそうです。
日本の象牙風印鑑のほとんどがカゼインプラスチックだそうです。
さて、ここにご紹介しますのは、デンマーク、コペンハーゲンにある
Rosenborg城の一階にある「王の寝室」です。
壁面は、緑色のパネルが鼈甲で縁取りされています。
これだけたくさんの鼈甲を使うとは、さすが王様と思いきや、
良く見ると・・・
以前ご紹介した「だまし絵の部屋」と同様で、
木に鼈甲風の模様を描いているだけだということがわかります。
で、何度か修理をされているようで、ちょっと汚い(苦笑)
天然鼈甲じゃありえない模様なんかも描かれてます。
近くで見ると、上は油性塗料だということがわかります。
こういった「鼈甲塗り」の方法は17世紀頃からの技法書にはよく登場しています。
下を赤で塗った上や、銀箔の上に褐色の鼈甲風の模様を描いて、
上から褐色のワニスをかければ、なんとなくそれ風になるのです。
遠目で見ればあまりわからないし、本物の鼈甲より安くあがるし、
何より作るのが楽ですから。
この城の室内装飾を担当したのは、イギリスから来た職人だと伝えられています。
ちなみに、緑に見える部分は
おそらく当初はラピスラズリの青を摸して塗装をしていたものが、
上に塗った透明塗料が劣化して黄色くなり緑色に見えているのだと思われます。
こんな東洋風の絵が金で描かれているのですが
下に見える青い顔料はスマルト(コバルトガラスを砕いた粉)です。
で、ちょっと脱線しますが、
この壁面に描かれているのはほとんどが中国を題材にした絵
(帆船などが多い)なのですが、
中に一枚だけ
ケンペルの「江戸参府旅行記」にあったような絵が描かれているのです。
コペンハーゲンのお城の、それも王様の寝室にこんな絵があるというのは
日本人としたらかなり不思議な感じがします。
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