事の発端は、うちの裏にいるおばちゃんが、
父に、まな板を削って直して欲しいと頼んできたことです。
おばちゃんのご主人は、木工の道具とかほとんど持っていないそうで、
うちの畑で取れたキュウリをお裾分けに行った時に頼まれたらしく、
最初は自分の鉋で、必死に削っていましたが、
あまりにも長い間直していなかったらしく、
両面とも見事にえぐれていました。
さんざん削って刃が切れなくなったから、砥石と研ぎ台を貸せと
父がやってきました。
「刃がへこんでいる」と言うので、粗めの砥石を貸したのですが、
へこんでいるへこんでいるとうるさいので見てみたら、
凹んでいるのでなく、呆れる程裏切れしていました。
こんな状態じゃいくら研いでも切れないから、
裏出し(裏押し)しないと駄目だと、刃を取り上げ、
きっと台もめちゃくちゃだろうから、
台も持って来るように言ったら、案の定、台も狂いまくりでした。
さすがに初心者に裏出しは任せられないので、
台直しの方を父にやらせ、こちらは刃の裏出しをやっていたら、
台直しの方を父にやらせ、こちらは刃の裏出しをやっていたら、
母親がお盆の買い物に連れて行ってくれと父を連れ出し、
結局私が両方をやる羽目になりました。
直し前の写真など撮影している暇がなかったので(父も傍にいましたから)
途中の写真です。
裏出しに使うのは、金床と刃鎚です。
この上で裏切れしている刃の表の、軟鉄部分から叩きます。
刃鎚の、このぎざぎざ部分を使って刃表から叩きます。
平らになっている逆面を使う方もおられますが、刃の上を滑りやすく、
滑って鋼を叩いては元も子もないので、私はこちらを使っています。
叩く時は刃をしっかり押さえていなければならないので、
作業中の写真はさすがに自分一人では撮れません(笑)
この真ん中の直線部分が裏切れを起こしていた箇所です。
左右は既にベタ裏ですが、これを直していたらきりがないので、
真ん中だけをさんざん叩いてなんとか中央だけ糸裏に近い状態まで戻しました。
(金板上での磨きはまだです)
裏も結構錆が出ているので、糸裏にしても錆で裏切れしてしまいそうです。
鉋台は、とにかくまず平らに直すところからでしたが、
今まで台を直すのはコンクリートの上でこすっただけ、と言うだけあって、
立鉋で削るだけでははるかな道のりで、
研いだばかりの鉋刃も駆使しました。
研いだばかりの鉋刃も駆使しました。
これは削っている途中の様子ですが、結局足かけ2日かかりました。
台の側面も直角が出ていないだけでなく、中央が凹んでいるのがわかります。
さて、ここまで頑張って直した鉋ですが、
頼まれたまな板は、杉材をなぜか逆向きに2枚継いであるものでした。
そのため、父の一枚刃の鉋では逆目が起きてどうにもならず、
結局私の仕上げ鉋を貸すこととなりました。
「砥石は女房にも貸すな」ということわざがありますが、
本当は鉋もあまり人には貸したくないのですけれど、しょうがないです。
まな板は、表面をサンドペーパーで仕上げると、
木目が荒れて水切れが悪くなり、すぐにカビが生えたり腐ったりしますから、
やっぱり鉋で仕上げなければなりません。
と、あれだけえぐれていたおばちゃんのまな板、
最終的に厚みが2/3くらいになってしまいました。
鉋もまな板も、こまめに直すのが一番です。
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