ウズベキスタンをはじめとする中央アジアで作られるスザニ。
タシケントのウズベキスタン工芸博物館での展示品の写真を
Facebookの方に先にアップしました。
「スザニ」とは、ペルシャ語の「針」という意味だそうで、
そこから刺繍布を指す名前になりました。
ご覧頂くとわかるように、地域によって決まった様式や色などというものも特になく
模様も、「ザクロ(子宝の象徴)」「太陽」「チューリップ」などの他にも
イスラムの幾何形体など、ヴァリエーションが豊富です。
多くのお土産物屋さんで大量に売られているスザニは機械刺繍がほとんどですが、
今回連れて行ってもらったブハラのスザニの店は、
オーセンティックな手刺繍のスザニに拘っているという話でしたが、
オーセンティックな手刺繍のスザニに拘っているという話でしたが、
観光客相手にスザニが展示された店内で食事も提供しているという場所でした。
壁にはスザニのベッドカバーやカバンや帽子やらがびっしり展示されています。
店主は古いスザニのコレクターでもあり、販売しない品もあるそうです。
これは下図を書いた布で、通常は木綿が使われ(カルボス)、
高級なものには100%絹や、50%絹50%木綿(アドラス)が使われます。
縦絣の「アトラス」と似た名前でちょっとややこしいです。
下絵は古いものは鉛筆ですが、現在ではボールペンで描かれるようです。
布は一枚でなく、何枚かを継いで作っていますが、
これは、複数の人が刺繍をするための方法です。
元々、花嫁が嫁ぎ先に持っていくため、
親族が手分けして刺繍をし、
一部、完成させない部分を残しておき、
花嫁が完成した部分を見て刺繍を続け、完成させるという伝統だそうです。
面白い技術伝承の方法だと思いました。
親族が手分けして刺繍をし、
一部、完成させない部分を残しておき、
花嫁が完成した部分を見て刺繍を続け、完成させるという伝統だそうです。
面白い技術伝承の方法だと思いました。
これを枠に張り、水平に置いた状態で刺繍を施すそうです。
これはかぎ針を使うチェーンステッチの刺繍ですが、
普通のサテンステッチや、
ボタンホールのように中に糸芯を入れて立体感を出す方法など
20くらいの技法があるそうです。
刺繍の糸は絹です。
ウズベキスタンは養蚕も盛んで、糸も豊富にあるという話でしたが、
残念ながらそれ以上のことは教えてもらえませんでした。
写真の左が精錬前の糸で、右が精錬後です。
天然染料のみを使って染めたという糸です。
人工的なものは一切使っていないということを強調され、
媒染剤については、媒染の意味を通訳が理解してくれなかったこともあり
残念ながら詳細はわかりませんでした。
使う天然染料素材は、
紫:桑の実、ナス
赤:ザクロの皮、アカネ、ビーツ
ピンク:サクランボ
黄:タマネギ
青:藍
水色:桑
緑:ウスマという植物
その他:クルミ、アカシアなどなど。
このように、地が見えなくなるまで刺繍を施した手のかかったものもあります。
(ザミンドゥージ)
この不思議な青が桑だそうです。
桑の何を使うのか、媒染は何なのか、
今回は染織調査が目的でなく、同行者がお土産を買うための説明を必要としたため
それ以上質問することができませんでしたが、
完成した布をクルミで洗う??のが鮮やかな色を保つコツ、
という説明をされたことについて、もうちょっと詳しく知りたいと思います。
もしご存知の方がおられましたら是非教えて下さい。
0 件のコメント:
コメントを投稿