2014年9月12日金曜日

ウズベキスタンのラッカー

今回、ウズベキスタンに行くことを周囲の人に言った時
「・・・ウズベキスタンてどこにあるの?」と質問される他に
「ウズベキスタンにも漆はあるの???」
と必ず聞かれました。

海に出るには2つの国境を越えねばならないという乾燥した内陸の大陸性気候ですから
残念ながら漆の木もありませんが、ラッカー製品はありました。

タシケントのウズベキスタン工芸美術館にあった作品の一部の写真を
こちらにまとめました。

イスラム圏では17世紀頃から筆記道具を入れるスライド式の筆入れが
パピエ・マッシェ(紙胎)で作られていました。
ミニチュア絵画を描いた上に透明塗装を施したものです。

そして、ロシアでは、おそらくドイツやフランスから技法が伝わった
フェドスキーノに代表される
パピエ・マッシェの小箱にロシア風の絵を描いたラッカー製品が作られています。

ウズベキスタンにはインドからイスラム圏まで広く見られる
ミニチュア絵画の伝統もあり、
現在のウズベクのラッカー製品はそれらの特徴を合わせて作られているようです。
現地で購入したウズベキスタンのミニチュアラッカーの本によれば、
歴史は1970年台くらいからと、比較的新しいもののようです。

外が黒く、中が赤いのはロシア風です。

サマルカンドの紙に描かれたミニチュア絵画も現在も製作されています。
これがパピエ・マッシェの箱に描かれているわけです。

 製作工程のわかるものがありました。
本にはこれはdistemperで描かれているとありました。
おそらくアラビアゴムと顔料を混ぜたもので絵を描き、
スクラッチなどの技法で印影もつけた上に
透明ラッカー塗装を施して仕上げを行うようです。

 ザクロはスザニ同様、子宝のシンボルでよく使われるようです。

そして綿花。

残念ながら今回ラッカー製品を作っている工房を訪問することはできませんでしたが、
本に出ている「代表的なミニチュアラッカー作家」以外に
あちこちで見かける品はどれも「手が違う」ので
それなりの数の工房があるのではないかと思われます。
20世紀になってから始まった「伝統工芸」というのも大変興味深いです。

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