岡山県北部の古い町並みの残る真庭市勝山町での展覧会を見に行った時のことです。
近くでお蕎麦を食べたら、そこで使われていたざるがとてもかっこよく、
お店の人に伺ってみたら
「近くに工房を構える人が作っているから、そこで買えますよ。」
と教えて下さいました。
「近くに工房を構える人が作っているから、そこで買えますよ。」
と教えて下さいました。
勝山は町の真ん中に出雲街道が通り、古くから竹細工で有名な町です。
しかし、数人残った職人さんもみなさん高齢になり、
後継者もおらず、まさに風前の灯火だったそうです。
昔は美容院だったという場所を借りて製作をされているこの竹工房の主、
平松幸夫さんは県内の南部出身で、
平松幸夫さんは県内の南部出身で、
自然農法などの活動をしておられる時にここの竹細工を知ったそうです。
数人残っていた高齢の竹職人さんのうちで、この人の技術は素晴らしいと
納得された師匠のもとで勉強して、
勝山竹細工の伝統技術を受け継いだ作品を作るために
2007年に移住してきたそうです。
2007年に移住してきたそうです。
床のクッションフロアは美容院のものをそのまま使われているそうですが、
ものに傷もつきにくいですし、掃除も便利そうです。
平松さんに竹を削って見せていただきました。
使われているのは見たことがない形の刃物です。
そして、手で持つ位置が、通常の刃物ではありえない場所です。
これも、地元の鍛冶屋さんが作った、勝山の竹細工だけで使われている形だとのこと。
もし竹細工職人と鍛冶屋さんがいなくなってしまったら、
誰がどう使っていたかもわからなくなってしまうような道具でしょう。
平松さんが高齢の師匠から直接使い方を習ってくださったからこそ、
持ち方と使い方がわかるのだとすれば
こういった一期一会の機会に感謝するばかりです。
譲り請けられた古い道具です。
使い安いものも、使いにくくてほとんど使わないものもあるそうです。
微妙な形や重さの違いなのですね。
平松さんの「もの」へのこだわりは自然農法から続いているようです。
「親の代から仕事を継いでいるだけだと、
勝山竹細工という看板で商売ができるのが当たり前だったから
自分の技術を磨くことなく雑な仕事をしている職人がいるが、それは良くない。
自分はその人達よりずっといい仕事をしている」
と、自信を持っておっしゃられました。
いくら有名な看板があっても、まっとうな製品を作らないと
せっかくの伝統産業も廃れてしまうというのは
他の産地を見ていても感じることです。
外から来た人間だからこそ客観的に物が見られる、
また、そこに定住してでもその技を学びたいという熱意。
各地をまわっていると、そういう若い方々と会うことが多くなりました。
いろいろお話を伺っていると、
平松さんと同居しているわんこが裏から覗きにやってきました。
工房では竹細工教室も開かれたり、小学校などに教えに行くこともあるそうですが
今でも自然農法でのお米作りもされているために
農繁期は田植えや稲刈りなどでお忙しいそうです。
お蕎麦屋さんで使われていたのと同じざるを買わせていただきました。
水切れもよく、カビず、これに乗せるとお蕎麦やうどんが美味しく感じられます。
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