沖縄には、大量の顔料を漆と混ぜて粘土のように練り合わせて、
餅のように搗いて混ぜたものを薄くのばし、
それを切って漆器の表面に貼り付ける「堆錦」という技法があります。
これは、沖縄の気候だからこそできる技法であり、
本土でやるとなかなかこの餅状のペーストが固まらなくてうまくいかないのですが、
岡山県の漆芸作家、山口松太さんは、
ウルシオール分が多い岡山県産の備中漆を高温で加熱する技法を編み出し、
独自の作品を作られておられます。
さて、南米コロンビアには堆錦のような工芸品があります。
Mopa Mopaというアマゾンの熱帯雨林にしか生えない木
Elaegia pastoganomophoraの実
(※ネット上には蕾という説も見かけますが、
私が聞いた解説では「実」でした)
Elaegia pastoganomophoraの実
(※ネット上には蕾という説も見かけますが、
私が聞いた解説では「実」でした)
から採れる樹脂に顔料を混ぜて加熱し、
薄くのばしたものを器物に貼り付けるのです。
薄くのばしたものを器物に貼り付けるのです。
これは、南コロンビアのPastoという地区に住むインディアンに伝わる
伝統技法だそうです。
伝統技法だそうです。
スペイン語では"Barniz de Pasto"「パストのワニス」と言われます。
Eduardo Muños Loraさんという有名な作家さんが、
ロンドンのギャラリーで個展をされた時に実演をされた時の様子です。
これが原料の「モパモパ」という木の樹脂を集めたものです。
これを何度もお湯で煮て、金槌で叩いて不純物を取り出すそうです。
この工程は2-30回繰り返されるそうです。
ゴミを取り除いてから再び茹で、植物性色素を良く混ぜ込んだものがこれです。
モパモパは、加熱すると柔らかくなるのですが、水に溶けないので、
直接お湯の中に入れて茹でます。
手で良く練ってから、口にくわえて
引っ張ると、こんなに薄く伸びます。
細工の様子が見えやすいように、白いお皿の上で実演して下さいます。
薄くした樹脂は、お皿にぴったり貼り付きます。
デザインナイフで、下書きもなく手慣れた感じで模様を切っていかれます。
細かい模様もすべて下書きなしです。
この透明感を活かして、重ね貼りなどの技法も可能です。
で、肝心のEduardoさんの作品の写真は撮影できなかったので、
ネットの動画でご覧ください。
何かを切って貼って作ったとは思えない、
まるで絵画のようなクオリティーです。
Eduardoさんは英語をまったく話されないので、通訳の方がついておられましたが、
日本にも来られたことがあるそうです。
日本にも来られたことがあるそうです。
その他の作家さんの動画もYouTubeにアップされています
南米には、まだまだ我々の知らない謎の樹脂が存在するのですね。
なお、この樹脂で加飾された17世紀の銅版に描かれたフランドル絵画の木彫額が
エジプトのボゴタの古い協会で発見されたという話題もあります。
これは、コロンビアという国ができる前の時代のものとされています。
(リンク先はスペイン語です)
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