3月5日(日)に、大阪市立科学館で、
ラック研究会と大阪市立科学館の共催で
「虫で染める赤いフェルトコースター」ワークショップを開催しました。
「虫で染める」というタイトルで、果たしてどれだけの方がご参加くださるか?
内心ドキドキしておりましたが、
おかげさまで、小学生から大人までの
男女さまざまな年齢層の方にご参加いただけました。
男女さまざまな年齢層の方にご参加いただけました。
講師は、京都御所の南に「天然色工房tezomeya」を構える青木正明さんです。
奥様もお手伝いに来てくださいました。
2時間のワークショップの中で、
1. フェルトができる繊維のしくみ
2. 繊維に色が染まるしくみ
3. 色を染められる昆虫
という3つの情報が盛り込まれました。
講師をお引き受けいただいた青木さんのおかげです。
青木さんの後ろに写っているのは、羊毛、絹、木綿の繊維の電子顕微鏡写真です。
なぜフェルトを作るにはウールでなければダメなのか、という理由が
この羊毛繊維の表面の鱗状のもの
(「キューティクル」は人毛だけの呼び方なので、これは「スケール」と呼ぶそうです)
が、熱で開いて絡まり合うから、という理論も教えていただけました。
これを、青木さんが考案されたザルを使う方法で行います。
このような羊毛の束を、細かくちぎってザルの中に並べ、
次はそれに交差するように並べ、というように繰り返して何層かに積み重ねます
これにぬるめの石鹸水をかけて右、次は左へとせっせとモミモミします。
するとあら不思議、だんだんフェルト状にまとまってきます。
これを水洗いして、明礬を溶かしたお湯で先媒染します。
加熱中にも、青木さんが面白い話をいろいろしてくださいます。
媒染し終わったら、容器を洗って不織布をセットし、
粉状にしたラックを入れて、温度が上がりすぎないよう
温度計で測りながら煮ます。
赤い色が出てきましたよ。
これを濾して、お酢をちょっと入れて加熱。
お酢を入れるとラックの赤い色が鮮やかになるのです。
そこに先ほどのフェルトコースターを入れると、
あっという間に真っ赤になりました。
今度はお料理みたいですね(笑)
これを水洗いして完成です。
私は写真を撮ったり人のところを見に行ったりで集中が足りなかったせいで、
ちょっと形は変ですが、なんとかできました〜!
これを星型やハート型など切って好きな形にもすることができます。
「虫で染める」というテーマにあわせ、
ケルメスとコチニールという、
赤い色を出す別のカイガラムシの現物もお持ちいただき、
それで染めたものの写真もあわせて説明もしてくださいました。
お話上手で知識豊富な青木さんですから、内容が盛りだくさんすぎて時間が足りず、
「猩々緋(しょうじょうひ)」の説明のところで時間切れで、残念。
猩々はお酒の好きな想像上の
ショウジョウバエと猩々の関係は、どちらもお酒が好きなところ、
ということを後で教えてもらいました。
近年、「気持ち悪い」という苦情を受けたジャポニカ学習帳の表紙から
昆虫の写真が消えてしまったという話題もあったばかりです。
また、スターバックスでおきたアレルギー事件で、
コチニール色素が食品に使われているということが知られたことにより、
ラック色素で検索をかけると、一般の方のブログに、
「我々は虫を食べさせられていたんですよ!ひどい!」
というような文章が書かれているのも見つかります。
なので、正直、このご時世にわざわざ往復ハガキを買ってまで
どれくらいの方が申し込んでくださるのか心配していましたが、
定員以上のお申し込みをいただき、
残念なことに数名の方にはご参加いただけませんでした。
せっかくお申し込みいただいたのに申し訳ありません。
今後も、専門家以外の方やお子さんにも
天然素材を体験していただける機会を作りたいと思っています。
青木さんご夫妻と岳川さんに改めてお礼申し上げます。
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この行事は科研費の助成により行われました。心よりお礼申し上げます。
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この行事は科研費の助成により行われました。心よりお礼申し上げます。
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