一昨年の春、東北方面に出かける前に
なんと、近所の家で庭木の大伐採が行われていることを知らされ、
慌てて駆けつけたところ、そこには椿の大木も含まれていました。
椿といえば、染色家が喉から手が出るほど欲しがる椿灰の材料となる
アルミニウムが多く含まれる植物です。
電車の時間のギリギリまで何往復もして、葉のついた枝を家に運び、
そのまま留守中乾かしました。
帰宅後、葉と枝を分ける作業をしましたが、これがもう難儀で、
父親が暇を見てやってくれていましたが(こういう作業が好き)
住宅地でこれを燃やすのは最近いろいろ面倒なため、
袋に入れて置いていたのですが、
どういうわけか最近父が「あれはまだ燃やさないのか?」と言い出したため
風がなく小雨っぽい曇天だったこともあり、
ようやく灰作りを決行しました。
椿灰は葉が一番良いというので、葉だけ燃やしたかったのですが、
父が頑として「枝も入れないと燃えない」と言い張り、
ずっと火の番をするような時間の余裕もないため
今回は枝と葉の混ざった灰で妥協しました。
使うのはオイルか何かの入っていた缶、
椿の葉は100均の布団袋にいっぱい、
小枝はホームセンターで売っている土嚢袋2袋分です。
万が一のための消火用の水も準備して着火、
一度火がつくとどんどん燃えますが、
全ての葉と小枝が缶に入るまでには5時間以上かかりました。
以前、F先生から、5トントラック山盛りの椿の葉を燃やして灰にした時
わずか1キロくらいにしかならなかった、という話を伺っていたので、
あの大量の葉と枝が缶いっぱいに入ってしまったというのにまず驚きましたが、
棒でかき回したら、下ではまだ黒い炭が燃え続けているのです。
そこで、この組み合わせを父が考案。
缶の上に2本、金属の棒を二本渡し、
その上に特大の中華鍋、そして重石の水を入れたヤカン。
空気を供給するような隙間を作りつつ、
雨が入らないように蓋もする、というシステムです。
一昼夜燃え続けて、缶の中の半分量まで減りました
しかしまだかき混ぜると、黒い枝が混じっています。
これらが全て灰になるまで燃やし続けなければなりません。
たまにかき混ぜて空気も補給。
さらに翌日は、もっと量が減っていました。
しかしまだ、黒い炭が残っています。
ここからさらに2日
ここまでになりました。
もう底の方にほんの少ししかありません。
ここまで5日です。
念のため、冷えるまで置いてからふるいます。
先日、ラックの調査で行ったラオスでは現在も主要燃料が薪のため、
染色も薪をくべながら行います。
都市部では薪が勿体無いからという理由からか、冷水染めもするようです。
ある染色工房では、このような竹でできた蒸しざるに灰を入れ
水を注いで、自然に落ちてくる灰汁を貯めて使えるようにしてありました。
染色用のかまどからここまでわずか二歩。
燃料から出た灰まで無駄なく活用できる、
ガスが普及した日本では逆に贅沢に思えるシステムだなあと改めて思いました。
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