2014年10月31日金曜日

晩秋の庭

10月は行事に締切、そして海外からの訪問客の目白押しで、
家を留守にすることも多く、
あっという間に31日となってしまいました。
そんな間に、庭はすっかり冬支度です。
まだ葉は残っています。
うちの庭の木は普通の植栽地の木と違い、
畑の日当たりのために父が葉を落としてしまうため、
なかなか幹が太らず、漆の木に見えないですね。

漆の葉が紅葉することはあまりなく、
普通はこのような、あまりきれいでない黄色になります。
さらに晩秋には風が吹くと周囲の家に大きな葉が飛ぶので、
あまり好かれない木になってしまうのも仕方ないなと思えます。


藍の花も終わりで、あとは種が熟すのを待つばかりです。
今年は種もたくさん採れそうです。

綿の方は、種蒔きが遅かったのと、日当たりが悪かったため
まだ花が咲き続け、結実も遅くなっています。
左が西洋綿、右は和綿です。

 和綿の花
 和綿の実
 洋綿の花
洋綿の実。見た目からして全く違います。
まだ洋綿の実はひとつも割れていないので中身がわかりません。
楽しみです。

2014年10月5日日曜日

栗からも糸?

先月末の岩手では、秋の漆林で作業手伝いをしていました。
残念ながら漆林の写真はここにご紹介できませんが、
今年の岩手は8月に雨が多く、漆掻き最盛期にほとんど作業ができなかったそうで、
残念です。

しかし、山は秋の恵みがいろいろでした。
とにかくあちこちにアケビが。
この蔓は籠などに使われるようにとても丈夫です。
しかし、漆の木に巻き付くと幹を締め付けてぼこぼこにしてしまうので、
見つけ次第外さないといけません。
アケビ細工をする人が一緒についてきてくれて、
徹底的に蔓を外して使ってくれればなあ、なんて、毎回思っています。

そして、ヤマグリ。
写真ではわかりづらいですが、小さい実がバラバラと落ちています。
これを食べに熊などやって来るので気をつけないといけません。

 ヤマグリ(シバグリ)は普通に売っている栗よりかなり小さいので、
剥くのも大変だからか、地元の人はわざわざ拾わないようですが、
殻に傷をつけて電子レンジでチンするのが一番簡単、だそうです。

これは実家で近所の方から頂いた栽培種の栗ですが、

シバグリはこんな感じ。
同じザルに入れていますので、ザルの目が大きく見えるのがわかるでしょう。
手前に見えているのが虫の穴。
天然の栗につく虫の割合はかなりのもので、
拾った栗も1/3が虫つきで、
袋に入れて持って帰って来る間にもかなり喰われてしまっていたようです。
これは、お米につく虫と同様、
実や種が熟す前に卵が産みつけられているからなんです。
そう言えば子供の頃、「栗むし羊羹」は「栗虫」を連想させられ、
名前のせいでおいしさが半減していたような。(笑)

せっかく剥いている栗が虫だらけだと「憎き栗虫め!」
と、思ってしまうのですが、
ご覧ください、この美しい糸!
「栗繭」と書かれていますが、
なんと、この栗虫が作る繭から引かれた糸なんだそうです。
東京スピニングパーティーでのアトリエ・トレビさんの展示品です。

漆の植栽地でよく見かけるこの繭から引かれたものらしく、
今度見つけたら是非集めておいて!と頼まれました。

見本に置いてあったアジア各地の野蚕のいろいろです。
育てている植物に着かれたら害虫ですが、
繭を使うなら立派な益虫です。
これらの繭から絹糸を引くためには、
それぞれに適した酵素を使うなどのノウハウも必要です。

自然の森の中でこれらの蛾を育てるとなれば、
周辺の木々までに被害が及ばないような工夫が必要になることは否めません。
それを思うと、人の与える桑の葉しか食べないように人工的に交配され続けた家蚕は
既に野生では生きられないそうですから、
人間の執念というのもすごいものだと思います。

しかし、栗の実を取るか、それとも栗糸を取るか、
栗好きには究極の選択です。

2014年10月2日木曜日

蓮の糸

9月29日に、浅草橋駅すぐの場所で開催されていた
新・東京スピニングパーティ2014」に行って来ました。
入場料1,000円にも関わらず、
月曜の午前中とは思えないほどの混雑ぶりで驚きました。
日曜日はさらに混んでいたそうです。

会場で販売されていた珍しい繊維の一つに、
「藕糸(ぐうし)」という、蓮の茎から採る糸がありました。
 出店されていたのは、町田市大賀藕糸館の方です。
 蓮の茎を折って引っ張ると細い糸が何本も繋がっているので、
それを撚って糸にするのが本来の「藕糸」だそうです。
藕糸織りで一番有名なのは、奈良當麻寺の「當麻曼荼羅」ではないでしょうか。
(追記※近年の科学分析の結果、蓮でなく絹糸で織られていることがわかりました)

蓮の茎の断面は、レンコンのように穴が空いているのですね。

藕糸を作るのはなかなか大変なので、
今回は、蓮の茎を煮て乾燥させたものから糸を紡ぐ実演をされていました。
これは「茄糸(かし)」と言い、
大賀藕糸館さんではこの糸を使った製品を作られているそうです。

向かいのブースは野蚕絹の専門店「アトリエトレビ」さん、
左隣も大人気の糸のお店で、この周辺は満員電車くらい大混雑していました。
水桶の手前に置かれているのが蓮の茎を苛性ソーダ水溶液で煮て
洗ってから乾燥させた繊維です。

これを湿らせて戻してから、細かく裂いて準備します。
繊維を一本づつ抜くのでなく、大きめに分けてそれを二等分、
さらに二等分という感じで少しづつ細い束にしていくのがコツだそうです。

数本の繊維を取り

少しづつ撚って、撚ったものを紙の芯に巻いて
端は洗濯ばさみで留めてから次の繊維を撚ります。
端まで完全に撚りきらないで、ばらけた状態にしてから
次の繊維を足していくという感じです。

レンコンの産地で収穫後の蓮の茎を使ったら廃物利用で良さそうに思えるのですが、
蓮の茎から蓮糸を採るのに最適な時期(9月上旬まで)と、
レンコンの収穫の時期(冬)は全くズレており、
葉っぱを採ってしまえば当然ながらレンコンは育ちませんから、
残念ながら共存はできないそうです。
もし自分で蓮糸を作るなら
お寺のようなところにお願いするのが一番だと言われましたが、
このブースでは栽培用の蓮の種も販売していました。
自宅での栽培というのも面白そうだなと思いつつ、
そうなるとやはり広い池が必要になりますよねえ(苦笑)。

ミャンマー産の藕糸を販売していたブースもありましたが、
さすがに高価(ひと綛4,000円)で手が出ず、
こちらで売っていた乾燥茎と、紙筒に少し巻かれていた蓮糸を入手しました。
乾燥茎を「一生分」と、10束大人買いされている方もおられました(笑)。

その他にも様々なブースで、なかなか見かけない珍しい素材が販売されており、
全く知らない来場者の方からも
「それ何ですか?」「どこで売ってましたか?」という質問から
話がどんどん広がったりで、
予定外の大散財の大荷物となってしまいましたが、
完成品でなく半製品や生素材に興味を持つ方が増えているということを実感し、
他の素材にも広がっていかないかなあといろいろ妄想を広げました。

2014年10月1日水曜日

綿出現!

9月末は知人の来訪が続いた後に、
千葉、東京、岩手に出かけ、やっと帰って来ました。
久し振りに畑を見に行ったたところ、
最初に開花した綿の実がはじけていました。

和綿なので、実が小さくかわいいです。

これは、洋綿の花です。
開花が始まったのは私の留守中のようで
まだ実は大きくなっていません。

一度刈り取った藍もまた育って、花穂が出ていました。
もうこのまま種を採ろうと思います。