2013年5月27日月曜日

漆の花満開

数日バタバタしていたら、
あっという間に漆の花が満開です。

構図がちょっと変なのは、父親が漆の木の下にスイカの苗を植えて
漆の木の幹を利用してネットを張ってしまって
木に近づけなくなった上に、明るくてデジカメのモニターが見えないからです。

明日からまた数日東北です。
帰って来る頃には花は終わってしまっているかなあ。

タシヤンツェ伝統技芸院6

最後に、伝統技芸院のショールームをご紹介します。
ここでは、学生が作った作品を展示するだけでなく、販売もしています。
割安なお値段で学生の作品を買うことで、
学生もサポートできるという良いアイディアだと思いますが、
まだ試行錯誤中であることからほとんど宣伝がされていません。









お茶目な校長先生がお面をかぶって見せてくださいました。

ちなみに、このショールームのある事務棟を入ると、
こんなすごい壁画がお出迎えしてくれます。

全て卒業生の作品だとか。

この玄関のドアも卒業生の作品だそうです。

校長のティンレイ・ワンチュク先生と、漆講師のカルマ・デンドゥップさんです。
カルマさんはタシヤンツェ伝統技芸院の創設当初からの先生です。

2013年5月25日土曜日

タシヤンツェ伝統技芸院5

お待たせ致しました。最後は木工関係コースです。

木彫部門は看板が大きいですね。

 ここは一年生の教室です
 まずは、透かし彫りでしょうか。
図案を木に写し取っています。
この方法ですが、

図面の線の上にところどころ穴があいているのがわかるでしょうか?

これに炭の粉をまぶした布を叩きます。

すると、木に点描で図案が写し取られるので、それを鉛筆でトレースします。
これはイタリアの壁画などでも使われる方法で、
ブータンでも同じ方法がとられているのには感動します。

次は、お面彫り部門です。

お面は床に座って彫るのですね。

左手の学生さんは、刃物を研いでいます。
ブータンでは砥石は山や川で適当なものを見つけてきたり、
インドやチベットからの輸入砥石を使うそうです。

仕上げは、靴の皮の裏が良いとか。

次は木工轆轤コースです。
残念ながら訪問当時は、学生数がゼロで、
轆轤を挽いているこの方は講師の先生です。
先生は公務員ですから、学生がいなければ首になるというわけでもないですけれど、
教える学生がいなければいないで大変だと思います。

 木工轆轤と漆コースはセットになっていますが、
昨年1人、今年5人の学生が入ったそうで、
現在は賑やかになったと思います。
下は、漆科講師の先生の机です。

ブータンの漆に関してはかなり特殊ですから
これは別の機会に。

2013年5月24日金曜日

タシヤンツェ伝統技芸院4

今日は、テキスタイル関係の講座をご紹介します。

ブータンの染めと織りは海外でも人気が高く、かなり手が込んでおり、
学校でもさぞや人気コースなのかと思いきや、
なんと伝統技芸院には染め科も織り科もありません。
あるのは、刺繍とアップリケのコースと、被服コースだけです。
被服コースももちろん、独自デザインの服を作るのではなく、
ブータンの伝統衣装を縫うのが目的です。
なので、染織科とも言えないコースなのです。

染めと織りがない理由は、
特に東ブータンや中央ブータンでは女性が染めや織りを
自宅でやっていることが多いので、
わざわざ学校で教えるものではないからだという話です。
南東のカリンという町に北欧の国がお金を出して作った
染めの研究施設がありますが、
ヨーロッパ人の好きな中間色を主とした染めは
ブータン人にはいまひとつ受けないという話でした。

まずは、刺繍とアップリケのコースです。
ミシンがたくさん並んでいますが、どれも昔懐かしい足踏みミシンです。
日本じゃこれは、もう皮のベルトを作るところがなくて使えないんですよね。
実家にあったものもそのおかげで捨てられてしまいました。

これが、刺繍とアップリケで作られた仏画Four Friendsです。
ブータンでは、「トンドル」という刺繍とアップリケで作られた大きな仏画が
各地域の大寺院にあって、
ツェチュというお祭りの早朝だけ公開されますが、
こういった小さい仏画も掛け軸用に作られます。

次は被服コースです。

やはり足踏みミシンが並んでいます。

女性用の民族衣装「キラ」の上着(本来はキラの下になる)の
ブラウス、「ウォンジュ」を作っているところでしょうか・

お寺や仏間にかける幕も作っているようです。

再び、別の学年の刺繍とアップリケコースです。

刺繍糸の見本です。
残念ながらどれも合成染料の色ですが、ブータン人はこういった鮮やかな色が好きなので
しょうがないですね。


やはり作っているのは仏画です。

全体が見えませんが、こんなグラデーションを作るのですね。

では、次回は木彫関係コースです。

2013年5月22日水曜日

漆開花!

ちょっと小休止。
さんざん待たせてくれましたが、やっと咲きました!




イギリスではElderflowerという白い小さい花を摘んで水に浸して密封し
そのまま発酵させてお酒にします。
漆の花でもできないかなあと一瞬考えましたが、
今年は実から漆の採取を試すつもりなので、このまま実らせます。

タシヤンツェ伝統技芸院3

さて、今日も続きです。
今日は絵画コースをご紹介します。
「絵画」と言っても、ここで教えているのは仏画(タンカ)のみです。
ここは食堂の二階部分にあたる礼拝所です。
毎朝6時と夕方5時にここで礼拝があり、学生が全員参加します。

その礼拝堂の入り口の反対側に絵画コースの1年生の教室があります。

日本の美術学校だとまずデッサンの勉強ですが、
ここでは既に確立されている様式の仏画をいかにうまく製図するかを勉強します。
左の象の上に動物が乗っている絵は、
ブータンでポピュラーなFour Friendsというものです。
以前のブログでお見せした、天然の土性顔料です。

これを昔は膠で溶いていましたが、今はインドから輸入した
アクリル樹脂接着剤を使っているようです。

では、上の学年です。
絵画コースは基本が6年、そこに希望者のみの2年のCertificateコースがあり、
どのコースよりも訓練期間が長くなっています。

看板に英語が書かれていません。

ここが高学年の部屋です。

筆はインドから輸入した猫の毛の筆だそうですが、
細かい線から広い面積の塗りつぶしまで数本の筆でやってしまうのが
まさに弘法筆を選ばず?

細部です。
左のキャンバスの余りで試し描きをしています。


仏画は、必ず背景から描いていくそうです。

学校の創設当初からおられる絵画の先生です。

仏画の下絵の作成をされておられます。
プロポーションなどきちんとした比率で作られていることがわかります。
先生の作品のひとつです。

こちらは2年生の教室です。
今は英語の授業中で学生がいません。
壁に貼られているのが学生の作品です。

下に貼られているのが授業時間割です。


始めて2年くらいの学生でこんな絵が描けてしまうのです。
小・中学校では美術の授業がないブータン人の才能に驚愕です。

あれ、君たち、英語の授業は?