先月末に引き続き岐阜県郡上の山の中、
石徹白洋品店さんにお邪魔してきました。
ワークショップの当日はお店にしている場所も作業に使っていたため、
商品が片付けられた状態だったこと、
IKTTの布の展示が日曜までだったこと、
そして、店頭で草木染めの続きをされるということで、
今回は電車とバスを乗り継いで出かけました。
JRから見捨てられてしまったローカル線や地方のバスは
車より圧倒的に時間がかかることは否めませんが、
乗る人が少なくなれば更に本数が減ったり廃止されたりするわけですから、
できる限り乗って残したいと考えています。
それはおいても、先日の曇りと雨の天気とは打って変わり、
快晴とも言える暖かく良いお天気に恵まれ、
電車も途中の郡上八幡あたりまではグループ散策ののお年寄りで満員でした。
まだ残雪が残り、山桜が咲いていた山々も
今回は新緑がまぶしい程でした。
(せっかくなので写真を大きくしてみました)
バスの道中、林の中にはもう食べられなさそうなくらい生長したコゴミも見えました。
岩手の浄法寺ではゴールデンウィーク頃に漆林の中にわんさか生えていて、
天ぷらやお浸しにしてよく食べたものです。
石徹白洋品店さんの店先。今度は桜でなく、芝桜がきれいです。
薪ストーブは入り口左手で既にフル稼働中でした。
先月のワークショップでは、屋外に石を組んで竈にして薪を燃やし続けたため、
全員が煙で燻されてしまったことから、
今回、ホームセンターでこの時計型薪ストーブを購入されたそうです。
煙突をつけてもお値段8,000円くらいだったというから驚き!
そして、この時期まで薪ストーブが売っているというのもさすがは郡上。
お子さんが近づくと危険だというのでちゃんと柵もあります。
到着したのが昼過ぎだったので、
既にヨモギと杉皮での染めがある程度終わっていたところでした。
そこにさっそく割り込んで、
木綿生成りの無印良品のエコバッグを染めさせて頂くことに。
まずは木綿布の精錬です。
一つは精錬用、一つは煮出し用と、鍋が一度に2つかけられるのも便利ですね。
中の空間も十分なスペースで、良く燃えてくれます。
ワークショップに参加された方も2人来られていて、
前回のメモと記憶を頼りに「何分だったっけ?」と相談しながらの復習です。
火の番もしながら、また、展示の方も拝見させて頂いたりで、忙しい!
そして今回のもう一つの目的だった、
前回は見られなかった、地元の方が地元で昔使われていた民具を整理して
展示されている、
「古い物資料館」も見学させて頂いてきました。
地元で使われていたさまざまな民具の中に、筵(むしろ)を編む道具もありました。
最近のビニール縄が張ってありますが、縄の通し方がよくわかります。
この、縦紐を前後させる器具「コテ」は、最近CDの棚として人気があるそうで、
古道具屋でもよく見かけますが、
売っている方も使い方はちゃんと理解できていないのではないかと思います。
しかし、日本全国にあるこの筵編み器、
誰が最初に発明したのでしょうか、素晴らしいアイディアです。
筵編み以外にも何かに使えそうです。
使い方を知っている人がお元気がうちに、
若い世代の前で是非実演をして頂きたいなと思います。
いろいろ説明を伺い戻ったら、先にヨモギで染めておられた木綿糸も、
だいぶ乾いていました。
左が木綿細糸、右が、日本で明治時代に発明された
「ガラ紡」という紡ぎ方で作られた糸です。
ガラ紡については後日ご紹介しますが、
染まりが浅いのは、木綿の脂肪分が抜け切れていないからじゃないだろうか?
という話になりました。
同じ素材を同じ材料でで同じ時間染めてもこれだけ違うというのが面白いです。
こちらは、無印良品のエコバッグに、
庭に落ちていた小石を輪ゴムで縛って、杉皮液で煮た絞り染めです。
小石の大小と形の違いで面白い模様になりました。
生成りなので、全体を染めても染まったかどうか判断しづらかったのですが、
これで色が染まったことがわかりました。
そして、既に翌日染めるスギナを煮て準備されてました。
こちらは追加のスギナ摘みのついでに、
庭に生えていたヨモギも自宅用に摘みました。
これは帰ってさっそく重曹を加えてゆがき、
翌日、餅つき器がないので、まだ米粒が残る程度の草ぼた餅を作りました。
餅米は大学の同級生が無農薬栽培天日干しで作ったものをうちで精米。
このお米も抜群に美味しいのです
小豆餡、ゆかり+砂糖まぶしの2種類の味にしたところ、
両親が大喜びであっという間に平らげました。
平野部では既にヨモギも大きく育ってしまっていたので、
おかげさまで少し遅い早春の味を楽しむことができました。
食べられるものを使って染めた布は、肌に直接触れても安心なうえ、
お灸のモグサにもなるヨモギなら「着る薬」にもなりそうです。