2014年8月26日火曜日

綿の成長

8月14日に最初の花が咲いた和綿ですが、
その後も毎日少しづつ咲いています。
開花時はこのようなクリーム色ですが


翌日には花が終わり、色が赤っぽくなります。

そして、実がどんどん膨らんでいきます。


実が熟すのが楽しみです。

和綿のすぐ側には百日草(奧)と千日紅(右)が
一人生えで育っています。
花が一日しか持たない「一日花」の綿と、
種も蒔かないのに毎年大量に生えて、花が百日、千日持つと言われる植物が
たまたま並んでしまったのがちょっと面白いです。
百日紅(サルスベリ)の木はここから離れているのが残念。

2014年8月24日日曜日

漆の天日ぐろめ

昨今の日本はあちこちで異常な豪雨災害が発生して何とも悲しい限りです。
被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。

そんな豪雨、雷雨、竜巻警報が頻発する日の合間に
真夏の暑さが戻った日が2日だけあり、
そのタイミングを狙い、ほんの少量ですが漆の手黒目(てぐろめ)をしました。

漆は、いわばマヨネーズのように
油性の主成分(ウルシオール)の中に、水の分子が分散した乳化状態です。
漆は漆掻きさんによって木から採取された「荒味漆(あらみうるし)」から、
木くずや樹皮、ゴミなどを濾したものが
「生漆」(きうるし)として販売されます。
この状態ではまだまだ漆中に水分が多いため、
摺り漆や拭き漆などには適していますが、
刷毛で塗っても厚みがつかないので、
「なやし(攪拌)」「くろめ(水分を飛ばす)」作業を行うことで、
「透漆(すきうるし)」となります。
色漆を作るにはこの「透漆」(市販名は「木地呂」「赤呂」など)と
朱や各種顔料を練るのです。

今回くろめるのは、昨年採取された丹波漆です。
チューブ1本100gのうち半分よりちょっと多いくらいをくろめます。
この1本で9,000円くらいなので、無駄にできません。
台は、学生時代に作った塗り定盤の蓋で、四方に縁があるので
垂れを気にすることがなく漆を広げることができます。

チューブから出した状態はこのようにカフェオレのような色です。
丹波漆は粘度が低いので、蓋を開けるとすぐに漆が垂れてきます。

自分だけが日陰になるような場所を選んだので、影が入って見づらいですが、
より効率良く水分を飛ばすためにはこのように漆を広げます。

今回は艶消し漆が作りたいので、最初から広げて攪拌しますが、
艶のある漆が作りたい場合は、温度を上げないうちに攪拌(なやし)をした後で
温度を上げて水分を飛ばします。

広げて混ぜるを繰り返すと、
漆は空気に触れた表面から水分が蒸発し、どんどん褐色に変化していきます。

そして、透明に。
さらに広げて混ぜるを繰り返します。

この日はかなり暑かったおかげで、
みるみるうちに漆もくろまります。

適度にくろまった頃に、チューブに残していた生漆を垂らすと、
色の差が顕著にわかります。
そして、ガラス板につけて透け具合を見ますが、透けが悪ければもう少し続けます。
この時に注意する点は、ここで温度が上がりすぎると、
漆を硬化させる酵素「ラッカーゼ」が非活性になってしまい、
漆が硬化しづらくなってしまいますので。
できれば温度計を準備しておいて、温度を37℃程度に押さえることです。

空の雲が写るくらいにくろまったところで終わり、
これを漆濾し紙で濾して、少量をテストピースに付けて漆風呂に入れ、
漆がちゃんと乾くか、艶や透けはどうかを確認します。
その時に元の生漆もつけておけば、生漆とくろめ漆の乾燥後の状態が比較できます。

今回のくろめは短時間で行えたこともあり、
硬化後はちゃんと艶消しで乾きました。
万が一乾かない漆が出来てしまっても、
良く乾く漆と混ぜれば十分に使えるのが漆の良いところです。

2014年8月14日木曜日

綿の花とオクラ

今朝、小雨の中、和綿の花が咲きました。

小雨の薄暗い中でそこだけ輝いている感じです。

さて、こちらはオクラの花

確かに色や型も似てますね。

「オクラ」(Abelmoschus esculentus)という名前は
その響きが日本語みたいですが、アフリカ原産で、英語でもokraです。
和紙を漉く時に根のドロドロを「ネリ」として入れるトロロアオイの仲間で、
花もそっくりです。
別名「アメリカネリ」と言うことをWikipediaで知りました。

じゃあ、これはネリに使えるのでしょうか?
根っこは試したことがありませんが、実の方は使えるんですよ。
ただし、トロロアオイの根と違って、実はその緑色がどうしても入るため、
できる紙も真っ白にはならず、乾燥した紙は少々茶色がかったものになります。
アオイ科ではありませんが、
同様に、モロヘイヤのドロドロでも実験したことがあります。
これでも薄茶色の紙を作ることができました。
(楮や三椏の繊維にこだわらずとも、牛乳パックのパルプでもできます)
興味のある方は試してみてください。

2014年8月12日火曜日

綿のつぼみ

晴天が続いた約20日分の雨を一気に降らせて
のろのろ台風がやっと過ぎ去ってくれました。
草木が倒れていないか気になって久しぶりに庭に出てみたところ、
綿の木が一気に育っていました。
7月末には小雨でこんなひ弱だったものが

台風でちょっと倒れましたが、ようやくここまでになりました。

実は、妹が5月に植えていた綿があまりに成長しないことにしびれを切らし、
某所から日本の綿を含む数種類の綿の種を入手して6月半ばに植えてみていたのです。
これが和綿の殻を取った状態のもの。
白と茶色はもともとの色ですが、
これが既に子犬みたいにもこもこしていて、触っているだけでも嬉しくなります。

こんな感じで種が繊維にくるまれています。

上が日本綿、下が西洋綿です。
種の大きさも全然違いますが、繊維の長さも西洋綿の方が長いようです。

これを数日水に浸しておくと、もやしのようにもしゃもしゃ生えてきました。
左の和綿にくらべ、右の西洋綿は成績が良くありませんでした。

これの状態になったものを地植えしたわけですが、
6月半ばというのは綿の種を蒔くにはぎりぎりの時期でしたので、
今年は花は無理かな、と思っていたところ、





 葉もようやく頼もしい色になってきているようでうれしいです。
これらは和綿です。

これは別種のものです。
 これもつぼみがつきました。

さて、綿はアオイ科の植物ですが、
同じアオイ科の植物がうちの畑にあります。

オクラです。
綿もこれに似た花が咲くんでしょうね。楽しみです。

2014年8月1日金曜日

夏の庭

毎日熱中症警報が出続け、普段は扇風機で過ごすわが家も
さすがに昼からはクーラーをかけるようになりました、
暑さで落ちた青い柿の実を拾ったり、
今年は不作なものの、花が咲いている茗荷を取ったりと
ここんとこ下ばかり向いてばかりいたら、
いつのまにかサルスベリが満開になっていました。
サルスベリは、漢字で「百日紅」と書きますが、
さすがに百日は咲いていません。
そして「猿滑り」の名のもととなっているのがつるつるのはずの幹。
数年前に、ワタフキカイガラムシにひどくやられて
父親が根元から剪定してから
やっとここまで戻ってきました。
ワタフキカイガラムシも潰すと赤紫色の汁を出すので、
コチニールみたいに乾燥して染めに使えないものだろうか、
なんて思っているうちに
父親が根こそぎ駆除してしまいました。

サルスベリやチシャ、エゴノキで作る炭は
漆を研いで磨いて艶を出す「呂色上げ」の前の最終研ぎに使う
目の細かい高価な「呂色炭」になります。
最近は値段が高い割に使える部分が少ない上に
外れた時に一瞬で傷が入るリスクを考えると、
クリスタル砥石のような
人工砥石を使う人の方が圧倒的に多いのですが、
良い呂色炭に当たった時は
作業中の気持ち良さが違います。

クチナシの実もこんなに膨らんできました。
冬が楽しみです。

漆の毛虫もすっかりいなくなりました。
幹から脇芽が出たり、

 根元から新しい芽が出て来たり。
これのおかげで数倍に増えました。

戸塚さんの畑の藍に比べるとかなり小さいですが、
これの発芽はかなり遅かったので、これでも上出来かと。

これは綿の木です。
本当ならもう花の時期なんですが、
これも移植が遅かったので、生長はかなり遅いです。
この調子では花は来年以降でしょうか。