2014年7月14日月曜日

日本に馴染んだ外国生まれ

土曜日の民族自然誌学会「赤く染める」には、
多くの方にご来場頂きありがとうございました。
十分にお話できなかった部分も多く、
また改めて何かの機会があればと思っております。

さて、そんなバタバタの中の京都でしたが、
町中は祇園祭の準備が既に始まっており、
ホテルの方から「もう町中に鉾は出てますよ」と言われ、
翌朝、駅に向かうバスから外を見ていたら、ありました。

祇園祭の山鉾のうちで最大の「月鉾(つきぼこ)」です。
残念ながら、あまりに背が高すぎて全体が写真に収まりませんでした。
当日は生憎の雨で上にビニールがかけられていましたが、
バスが近くに寄ったところで見られたのは美しい絨毯。
インド・ムガール王朝時代の「メダリオン緞通(だんつう)」を含む、
ペルシャ緞通、コーカサス緞通が使われているそうです。

各地の祭山車や曳山にヨーロッパや大陸渡来の染織品が使われているということは
もちろん知識として知ってはいたものの、
お恥ずかしながら祇園祭の山鉾の現物を見たのは初めてで、
思いもかけず前日話題にしていたものの現物が目の前に登場したのは
奇遇というよりも、我々を見てもっとちゃんと勉強しろと言われているのか。
バスが再接近した時には唖然としてしまうばかりで、
写真はほとんど撮れませんでした。

これらはケルメスかコチニールかラック染めなのか。
もちろんアカネも使われていたでしょう。

これらの絨毯が作られた当時は、まさかはるばるこんな極東にまで渡り、
それも絨毯という本来の用途でなく、
日本のお祭りの山鉾の飾り幕として数百年間に渡って使われ続けるとは、
製作者も輸出業者も夢にも思っていなかったでしょう。
そして、それらが日本の伝統風景として違和感を感じさせることなく収まっている、
山鉾のデザイナーと職人の知恵の賜。
世の中、面白いですね。

祇園祭を見たことがないなんて日本人じゃない、
と、当日一緒だったTさんは京都在住の染色の先生から言われたそうです。
残念ながら私も今回は、一泊した翌日は
千里万博公園内の大阪日本民芸館と国立民族学博物館を見にいくことにしており、
事前調査不足に後悔至極。
しかし、大阪日本民芸館と、民博の展示の方も大変興味深いもので、
民博はもちろんとても一日では回り切ることができず、
研究会の後では同じ物を見ても新たな発見があり、大変濃い2日間でした。
祇園祭りはまだこれからが本番。
都合がつけば改めてしっかり見てみたいと思います。

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