岡山の翌日は京都、と言っても兵庫県境の福知山市夜久野町での
NPO丹波漆の企画「うえるかむまつり」に参加です。
「うえるかむまつり」とは、「植える」と「come」を会わせた造語で、
それまでは漆好きの有志だけで行われていた漆の植栽を、
一般の方も気軽に参加できる形にしたイベントです。
「西日本の漆を守る会」とあわせた形で開催されました。
今年は、京都の3か所を巡回する丹波漆を使った作品展、
西日本の3人の漆掻きさんの座談会、その後の懇親会、
そして、翌日の植樹祭とキーホルダー作りが行われました。
左から、徳島の東官平さん、丹波の岡本嘉明さん、岡山の小野忠司さんです。
それぞれ2-30年の漆掻き歴をお持ちで、漆掻きを始めたきっかけ、苦労、
現状と将来についてなどをお話し下さいました。
日本の漆の最大産地は岩手県の浄法寺ですが、
その他の地区でもそれぞれ1人〜5人程度の方が漆掻きをされています。
丹波では、この4月から大学を出たばかりの竹内君が漆掻き修行に入り、
徳島では香川県漆芸研究所を卒業した女性2名
(十鳥さん、芝吹さん)が年間を通して漆掻きを学んでいます。
しかし、それらの漆は残念ながら市場に流通するほどの量はありません。
漆の木は採取できるまでに10年以上かかるため、
掻ける木が不足しているのです。
さらに漆自体が売れなくなっており、そのため売り値も安く、
今、漆掻きで生計を立てるには、1年で数百本の木を搔いても難しいのです。
そのため、丹波では岡本さんと「やくの木と漆の館」のスタッフを中心に
NPO法人になる以前から漆の植栽に力を入れています。
特に、今年から入った竹内君が将来も掻ける木を今から育てておかねば
間に合わないというわけです。
今年の植栽の様子です。
東さんをはじめとする皆さんの指導のもと、鍬を使って穴を掘って苗を植えます。
苗を植えた後によく踏みつけるのがポイントだそうです。
これは、分根法で苗を作る時も同じで、
土中に余計な空気が入っていると発根しないそうです。
西日本での分根法がうまくいくようになったのも東さんのこのアドバイスのおかげだと
座談会で岡本さんと小野さんがおっしゃられていました。
今年は去年より大勢の若い方が参加されました。
今年掻いた木の切り株です。
切り倒した株からも「ひこばえ」が生えてきます。
これを育てると、苗から育てるより早く成長します。
昨年植えた場所です。
緑色のポールが立っているのは、
雪が降ると苗が埋もれてしまってどこにあるのかわからなくなってしまうからです。
また、鹿が若芽や樹皮を食べてしまうので、周囲には防御ネットが張られています。
自分達が植えた木がどのように育つか、楽しみです。
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