上野の科学博物館に行ったついでに、
久し振りに言問通り沿いの日本画材店、得應軒に行きました。
ネットで何でも買える時代になったとは言え、
現物を見なければ判断ができないものというのはまだまだあります。
特に、色や質感は、パソコン上ではなかなか判断がつきません。
というわけで、やはり実店舗はなくなってもらったら困ります。
行った時にはたまたま、筆を試し描きされているお客さんがおられました。
水をつけると墨汁の描線のように描け、水が乾くと見えなくなり、
何度でも使える特殊なシートが用意されているのです。
筆を買う予定は全くなかったのですが、
横から見ていたら大変面白そうであり、
蒔絵に良さそうな筆が出てきたところで、
我慢ができずに試し描きをさせてもらいました。
ご親戚の作られている筆だそうで、
気に入ったので買うことにしました。
このお客さんがいらっしゃらなかったらきっと一生出会わなかった品かと思うと
店舗にいらっしゃる他のお客さんもご縁だなと思います。
上はイタチ毛。見た目が・・・なのであまり売れないんだそうですが、
使ってびっくり、長い線がきれいに描けます。
試し書き用は毛が長すぎると言われたので短くしたそうですが、
蒔絵用には長い方が良かったので残念です。
漆関係者が何本も買うということで別にお願いするしかないでしょうね。
下は、天然毛と合成毛を併せたコシの強さが独特の筆です。
筆はいくら値段が高くても、望む線が描け(書け)なければ意味がありません。
試し描き(書き)をさせていただけることで価値が理解できます。
実店舗があるというありがたさです。
そして、この日の目的は、銀箔の購入だったのですが、
つい最近、京都の堀金箔粉さんが開発された
変色しない銀粉「紫磨銀泥」というのを見せて頂きました。
銀と真鍮で作られた粉に膠を加えて容器に入っているものです。
粉だけのものはないそうで、日本画ではこのまま使えますが、
漆で使うとなると、膠分をどう除くかも考えねば、
と、思いつつ、まだ使えていません(苦笑)。
得應軒さんでは、これが本当に変色しないのか、
朱とウルトラマリン(酸化反応が強い)を塗ったボードに
銀粉、錫粉などと試し塗りをしたテストピースを作り、
劣化状態を比較しているとのことでしたが、
この製品が入荷してまだ10日ほどしか経過していないので、
変化はまだわからないとのことでした。
これらのテストピースはお願いすれば見せて頂けるはずです。
このように、新製品に出会うこともできるのも
実店舗の愉しみのひとつではありますが、
ついつい予定外のものを買ってしまうのが痛し痒し。
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