あるお寺に蓮の花を見に行って来ました。
生憎の雨天のため、せっかくの花も一部は寝てしまっていました。
蓮の花は開いてから4日で散るので、
前日までに咲いていた花が夜に降った強い雨にやられたのだそうです。
しかし、この日に咲いた花は大丈夫。
下の蕾が伸びるのに1日、明日には咲くそうです。
蓮根を取る蓮と花を観賞する蓮は別の種類で、
蓮根の蓮は一株で花は10本くらいしか咲かないそうですが、
花の咲く種類は蓮根は細いけれど、実がたくさんつくので
茹でて食べられるそうです。
お寺にある飾りや絵と同じだなと感心。
今回初めて教えて頂いたのですが、
蓮の葉の中央はちょっと色が違いますね。
その部分をつまんで剥がすと、穴が空いています。
これは、蓮根の穴と同じ数空いていて、
日が照って光合成をしはじめると、この穴から空気が出て来るのだそうです。
水があれば泡がぷくぷくと出るのだそうですが、
残念ながら雨天のこの日はそれは見られず。
茎を折ると、中空なのがよくわかります。
そして、茎を折ると糸が出てきます。
これが当麻寺天寿国繍帳を織った糸(藕糸)とも言われていますが、
こんなに細い糸を紡いで糸にして織り上げるというのは
考えただけでも気が遠くなる作業です。
もう少し簡単な、乾燥させた茎から糸を取る方法も去年のブログでご紹介しました。
ところでこのお寺のご住職は、様々な材料でお念珠作りをされておられ
そのコレクションを拝見致しました。
次から次へと出て来るお念珠のごく一部です。
左上の3つは、コヨリを編んでカシュー塗料を塗ったものだそうです。
このナスみたいな実は緬茄菩提樹(メンカボダイジュ)という木の実で、
名前はボダイジュですがマメ科の木です。
中国では魔除けや長生きのお守りなのだそうです。
これはモダマ。マメ科の木の実です。
これはデイゴの種。これもマメ科です。
モモとウメの種をグラインダーで磨いたものだそうです。
奧に見えるのは鹿の角の中に沈香の木を埋めたもの。
いろいろなボダイジュの実と、それに彫刻を施したもの。
固い実にこんな細工をするって、どんな刃物なんでしょう。
「星月菩提樹」と言って、必ずひとつ大きな穴が空いているのが「月」
地になっているつぶつぶを星に見立てた名前だそうです。
お釈迦様がその下で悟りを開いたという菩提樹はさすがに種類も様々。
そしてこれが蓮の実のお念珠です。
お寺の蓮池の実で作るということですが、
穴を開けて紐を通すだけだと、中を虫が喰って大変なことになるため、
ご住職が考案された秘訣を教えて頂きました。(内緒)
そして、図々しくも蓮の実のお念珠作りにチャレンジ!
使えば使うほど手脂でいい艶が出るそうです。
今回、時間が短かったのでここまで加工してあるものを使わせて頂きましたが、
蓮の実の表面にはガラス質の膜があるため、
それが残っていると手で触っても艶が出ないから、
泥と一緒に擦ってそれを落とす必要があるそうです。
左の連なっているのがお念珠に加工したもの、
右のバラバラなのが加工前。
確かに右は曇った感じがします。
家に帰ってから、去年の秋に東京スピニングパーティーで入手した蓮の実と、
庭から掘ってあった砥の粉用の山の石を水の中で擦ってみましたが、
膜はなかなか固く、かなり大変な作業でした。
でも、手で摺り合わせて表面を磨くという作業から
既に念が入りそうです(笑)
そして、実に通した紐を編む方法も教えて頂きましたが、
なかなかこれもややこしく、
忘れないうちに蓮の実に穴を開けてお念珠を作りながら復習しようと思います。
こういった自然素材を使ったお念珠をいろいろ触ると、
個人的には、粒の形や大きさがまちまちの自然素材の方が、
きれいに加工されて丸くなったお念珠より触り心地が良い感じがしました。
最初のお念珠というのもきっと木の実だったのではないかなと
勝手に想像しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿