お念珠作りも途中まで、というところで、
実は、春にちょっと話が出ていたものの、暫く忙しくて延期にしていた、
冬に地元で駆除された鹿の皮の加工作業を始めなければならなくなってしまいました。
神社の裏山にいる野生の鹿は、ここ数年住宅地の畑にまで入ってきており、
うちも近所の畑も柵を作って防御しています。
しかし、どんどん出没範囲も広がり、
一定の時期に猟友会が鹿や熊の駆除が行われています。
じゃあ、捕った鹿の角や皮はどうしてるんだろう?
という疑問を持っていたら、
まさにその駆除をしているという猟友会の人が偶然登場。
肉は食べても皮は加工がめんどくさいのでほとんど放置されている、
角は、雄の鹿は雌5頭に対して一頭だから、
数が少ないからあまりないという話でしたが、
今度の捕獲シーズンになったら取っておいてあげる、と言って下さいました。
そうしたら、
またまた狩猟免許を持っている方から、
今、冷凍した生の毛皮があるから、
それでいっぺん実験してみる?
と言われ、それをやっと加工することになったわけです。
せっかくなので、地元の天然の素材でやろうと言ってはいたのですが、
この時期、気温が高いので腐っても困るため、
とりあえずは手っ取り早い石灰漬けでやってみました。
加工の途中の様子は結構グロテスクですから、
写真は最小限にします。
うまく血抜きがされ、既に大部分の肉と脂肪分を取ってあったとは言え、
鹿は皮が薄いこともあって、
残っていた肉などを取り除くのはかなり大変でしたが、
2年前にお邪魔した姫路の皮加工業者のOさんのアドバイスで
庖丁などでなく、ステンレスの定規を使ったところ
これがなかなか具合が良かったです。
せっかくのきれいな冬毛をなぜ残さないのかと言えば、
鹿の毛は他の動物と違い、ストローのような中空構造になっていて、
ポキポキ折れてしまいやすいので
取った方が良いと、これは近所の革工房の方のご意見。
だから保温力に優れているのですね。
2日石灰水につけ込んでおいても、すぐに毛が取れるところと
なかなか取れないところがあるだけでなく、
野生の動物ですから、
毛の中がに血を吸ったダニがあちこちにいたり、
予想していたより臭くはないとは言え、
神経の細い人には無理な作業でしょう。
鞣しには脳みそを使う方法もあるそうですが、
それはちょっと私にも無理です。
しかし、こんな作業など滅多に見られるものではないので、
父親も興味津々で手伝いに来たり、
近所の方も見に来たり。
2日かけて、なんだかんだでほとんど毛も取れたので、
これから塩漬け、鞣し工程に入ります。
加工された皮が高くなるのも当然だなと改めて感じるほか、
古代の人達が身にまとうための動物の皮は何を使って
どのように加工していたのだろうか?などなど
いろいろ考えさせられる面白い体験です。
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