手を怪我した後、今度は薬の副作用のせいかずっと体調が思わしくなく、
寒さもあってなかなか手仕事作業ができないでおりましたが、
その間も、父親は着実に春の準備をしておりました。
今日は晴天で、なおかつ久し振りに風もほとんどないので、
一気にやったようです。
これは、5月の地元のお祭りで使う飾りの花になる紙です。
並んでいるとそれぞれの染まり具合が違って絞り染めというか、
現代アートのようにも見えます。
元は白い10センチ角くらいのティッシュのような紙の束で、
適当な枚数を重ねて、四隅を水に溶いた色素で染めて乾かしているわけです。
このピンク色は、食用色素の「桜花色」という粉末状のタール系合成色素で、
水に簡単に溶けます。
もちろん食用色素ですからあまり耐久性はなく、
水にも流れてしまいますので、お祭り当日に雨が降れば色落ちしますが、
洗濯すれば服にシミも残りません。
この花飾りはお祭りが終わった後は縁起物として各家に配られますが、
こういう性質のものですから、一年でかなり色褪せしてしまいます。
しかし、こういう縁起物は、色が褪せることにも意味があったりするので、
もっと丈夫な色素を使った方が良いとは一概に言えません。
毎年新しい花をもらい、古い花は燃やされるので、
保管しておく必要もありませんので。
これは見本として保管している10年くらい前のものですが、
室内に置いてあってもご覧のように完全に色が飛んでいます。
毎年晩秋になると父親は親類の竹林に行って竹を切って竹ヒゴを作り、
天気の悪い日や寒い日に染めた紙で花を作っています。
毎日必死にならずとも春のお祭りには十分間に合うわけです。
昔の人も農閑期にみんなで手分けして作っていたのでしょう。
和紙は昔から冬に漉くので納得できますが、
冬の間に、紙をピンク色に染められる身近な植物とは何だったのか、
耐久性は求められないとしたら、
ツバキの花や赤カブかなあ?などと想像を巡らせています。
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