さて、最後の日です。
雲南省は少数民族がたくさん住む地域ということで、
「雲南民族村」というテーマパーク式の観光施設が作られており、
ちゃんとその少数民族の人達が織物を織ったり踊ったりしているという話でしたが、
その正面に、雲南民族博物館という施設もあります。
(※ウエブサイトのトップにFlashが使われているため、
iPhoneとiPadしか持って行かなかった私は滞在中全く見られませんでした。)
民族村は広いので見るのに一日かかるという話を聞いており、
既に予定が押してしまっていたので、
ここは欲張らずに、民族博物館一ヶ所に絞りました。
ここは市内中心地からタクシーで40元くらいでしたが、バスも出ています。
タクシーの運転手も、民族村は知ってても博物館は知らないようで、
「民族村の反対側にある博物館」という説明で理解してもらいました。
雲南省博物館よりは小さいものの、ここも巨大で、入場無料です。
今年で開館20周年だそうですが、
あちこちで改修工事が行われていて、一階で空いていた展示室はわずか3ヶ所。
全体で半分くらいの展示室が閉鎖されていたような印象です。
その中でもまずここの目玉は、染織品コーナーですね。
雲南省に住む20の少数民族の衣装の展示コーナーです。
その反対側には、シーサンパンナの樹皮服など原始的衣服が。
真ん中には服の後ろ側も見られるような工夫された展示になっています。
少数民族に限定していないので、ちゃんと漢民族の衣装もあります。
技法材料コーナーもちゃんとありました。
苗族の臈纈染めの道具です。貴重です。
織機や糸繰り、紡績道具も展示されています。
他にほとんど誰もいなかったところに、
学生の団体がやってきて、男の子も女の子も真剣に見て写真をばしばし撮っていました。
銀細工アクセサリーも裏表が見られる展示になっていて、
ここにも道具が展示されていました。
最後は動画上映コーナーになっており、
シーサンパンナの樹皮服作り、苗族の麻織物製作工程、
少数民族の儀式などが流れていましたが、
この日は前日の汗ばむ陽気と比べ、最高気温が6℃という寒い日で、
暖房設備のない開放式展示室でガタガタ震えて見ていたのは私だけでした。
次の展示室?と思って入った場所は、骨董品販売店?喫茶店?
入り口には何の説明も看板もないのはさすが中国。
次の部屋は、絵で見る上流階級の服装のコーナー
ここでは展示品の状態の悪さが気になって、様式どころではありません。(苦笑)
次は本や書き物コーナー
もちろん紙や、
経文を書くバイタラヨウなど。後ろには製作工程の解説写真もありました。
少数民族の神様やらの絵も面白いですが、
このナシ族の使う象形文字のトンパ文字は特に有名ですね。
これら少数民族の言葉や書き物の調査をする研究者も多数いるようです。
二階に移動し、すぐに本売り場がありました。
ここの品揃えは素晴らしく、買って帰りたい本がいろいろありましたが、
12時から1時までお昼休みということで後で出直しに。
次に焼き物コーナー。
製作工程まで写真で解説されています。
この化け猫とでも言うか、おそらく魔除けの置物が種類が豊富で面白かったです。
続いて、民族楽器コーナー
民族工芸コーナー
民画
切り紙
影絵
民間信仰の置物
金属工芸品
やはり漆やラック塗装品はないですね〜。
しかし、次の農・漁・建築などのコーナーには
タカ足酒器で有名なイ族の漆器などがありました。
次は瓦コーナー
お面コーナー
特別展が展示替え中だったので、これで二階はおしまいです。
書籍売り場に戻り、本を物色。
しかし、日本へのお土産をいろいろ預かってしまった後だったこと、
写真を山ほど撮影したこともあり、今回は最小限にとどめました。
一階の入って右側には茶藝館という部屋もありましたが
お客さんが少なかったせいか、スタッフの休憩所のようになっていました。
お茶の葉を固めて作ったクリスマスツリーなんでしょうか?
こういった飾り塼茶というのは、お茶としていいのか悪いのか、
中国が豊かになったからこそできる余裕なんでしょうね。
というわけで、当日の寒さもあり、
この後、入場料が90元の向かいの民族村を見る時間的体力的余裕もなくなり、
今回の調査を終えることになりました。
インドと違い、地元で採れるラックが工芸品にほとんど使われていない様子が
改めて確認できて、大変興味深いです。
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この調査は生き物文化誌学会さくら基金の助成で行われました。