2014年7月7日月曜日

虫の赤

先日、高松塚古墳の壁画に用いられた赤色色素が
ラックから取られた臙脂である可能性が高くなったとの報道があったばかりで、
まさに偶然のタイミングですが
今週土曜日に、京都大学楽友会館で開催される民族自然誌研究会の例会は
テーマが「赤く染める」で、「ラック」についての特集です。
古来より漆が用いられてきた日本では、
東南アジアから南アジアの熱帯雨林に生息するラックカイガラムシの樹脂「ラック」
またはそれを加工した薄片「シェラック」について良く知られていません。
世界最古の現存するラックは
正倉院に薬物として収蔵されている「紫鑛」です。
漆のない欧米では、現代でも塗料としての用途はもちろん、
我々は毎日何かしらラックと接していると言っても過言でないほど
身の回りの隠れたところにラックが使われているという事実や、
アジア7カ国のラックの産地の様子などが写真と現物資料で紹介される予定です。



「ラック」は、ラックカイガラムシの分泌物ですが、
その成分は樹脂と色素と蠟分、その他に分けることができます。
「ラック」は、体質顔料に染料を染めて作った顔料を指す、
「レーキ顔料」の「レーキ」の語源でもあります。
また、ヴァイオリンなどの音色が重要になる楽器類の塗装には
シェラックがベースとなった塗料を用いることが多いです。

なぜ虫が赤い色素を持つようになったのでしょう。
無機物からできた色素でなく、生物由来の色素としては
圧倒的な耐久性と耐光性があるラック色素。
そして、漆よりは強度はないものの、さまざまな用途に用いられるラック樹脂。
最初にこれを使おうとした人はどんな人だったのでしょう?
ご興味のある方はお出かけ下さい。

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