長崎は江戸時代の海外との玄関口だったことから独特の工芸がありますが、
「長崎刺繍」はそのうちの一つです。
これは、長崎くんちに使われていた、最も古い1772年(安永元年)製作、
桶屋町傘鉾垂「十二支」のうちの「辰」の復元です。
日本刺繍とは違って、立体感のある作りとなっています。
長崎刺繍について、詳しくはここを読んでいただくとして、
長崎市歴史文化博物館では毎週金曜と第三土曜日に体験教室が行われています。
というわけで、畳の間に刺繍台がこのようにセットされております。
こんなかわいいサンプルを見ながら刺繍の作品を作れるだけでなく、
刺繍をする時間がない人には「糸より」という講座もあることです。
ほんとうに、糸を撚るだけです。
長崎刺繍の糸は、京都で作られた釜糸というのを
制作者が自ら撚って好みの太さにすることにより、
表情に変化のある刺繍を作ることができるのだそうです。
制作者が自ら撚って好みの太さにすることにより、
表情に変化のある刺繍を作ることができるのだそうです。
糸よりに使う道具はこのような、棒の先にヒートンがついたものです。
棒の長さは3尺くらいです。
使う糸は、撚りがかかっていない絹糸です。
糸巻から必要な長さの糸を出し、ヒートンにかけて撚ります。
講師の方は慣れているので普通にやってらっしゃいますが、
実際にやってみると、せっかく撚った糸が巻戻ってしまったり、
ゆるかったりきつすぎたりもつれたりで、
均一に撚るのはかなりの熟練が必要だとわかります。
糸を撚った先端はこんな感じです。
もちろん、撚った糸は持ち帰りができます。
(体験料金は100円)
所用時間は説明を含めても10分かかるかかからないかですから、
観光で長崎にきてゆっくり刺繍をする余裕がない人でも大丈夫。
もちろん時間の余裕があるなら、これで刺繍まで体験できれば文句なしです。
写真のようなものすごい刺繍を作るためにはこんな糸を何本も作らなければならないとは
刺繍以前に気が遠くなるような作業です。
(もちろん、蚕を飼って糸を作って染めてきれいに糸巻に巻くまでも考えれば、
さらにはるかな道のりです)
金銀箔を漆で貼った和紙を細く切ったものを巻いて作る金糸銀糸、
「漆糸」という漆を塗った艶のある糸など、
日本の染織品に使われる糸の加工ひとつを取ってみても、
さまざまなバリエーションや工夫がされていて興味深いです。
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