2016年9月19日月曜日

新・東京スピニングパーティー2016

今年から会場が錦糸町に変わって開催された新・東京スピニングパーティー
年に一度、羊毛、絹、綿、麻や染織素材など
日本全国の天然繊維関係の業者さんのブースが集まり、販売が行われるほか、
レクチャーやワークショップが行われるイベントです。

いくらインターネットが普及しても、
微妙な繊維の違いなどは、現物を触ってみなければわかりませんので、
製作者には貴重な機会です。
入場料が1,000円もかかるにもかかわらず、
以前の浅草橋の会場は、身動きすら取れなかったくらいで、
今年の会場ではかなり余裕を持って歩けるようになっていました。


しかし、初日の午前中で既にこの勢い。
開場前には行列もできていたそうで、
他人のことは言えませんが、皆さん、熱心です。

とにかく来たら何か買わずにいられなくなってしまうので、
自分のような人間にはほんとうに危険な場所でもありますが、
逆に、小規模店舗を構える店など
わざわざ行っても欲しいものがなく徒労に終わることもありますから、
どっちもどっちでしょうか。

珍しい天蚕の繭をほぐしたもの。
鮮やかな緑色は、繭をほぐす際に抜けてしまうもともとの色を
ある方法で戻しているのだそうです。

また、中国の柞蚕繭を爆発させた「爆砕柞蚕」は、
爆発によりセリシンが取れているそうで、とても美しいツヤがありました。
こういったものは量も少なく、こういう場所でなければ見ることすらできません。

今回の目的の一つは、ラオスの葛糸作りワークショップでした。
葛繊維というと日本では大井川葛布が有名ですが、
大井川の方法は、葛蔓を発酵させるために匂いが半端ないと噂に聞いており、
ラオスは、蔓を乾燥させて、そこから靭皮繊維を削り出すと聞いたため、
ぜひ、その方法を知りたいと思ったのです。

ラオスのカム族が葛糸で作ったバッグです。
細かい編みです。

これがラオスの葛糸と、白く見えるのが葛糸を作る繊維部分です。
自分も葛糸を作ろうと、蔓を乾燥させたものの、
その後の作業がかなり大変で挫折しておりましたが、
ワークショップではここまで加工済みのものを使っての作業でした。

簡単に方法を説明すると、蔓の中の靭皮繊維を適当な太さに裂き、
それを生足の上でよりをかけ、
さらに2本どりでよりをかけて繋いでいくというものです。
決して見栄えのよくない足を公衆に晒しながら、ひたすらよりをかけ続けましたが、
コツは、最初に繊維を細く均一に裂き、
それによりをかけたものを大量に作っておくことです。
葛の繊維の長さは、葉が着いている節まで、
長くても30センチくらいしかありませんので、
かなり頻繁につなぐ必要があり、
この点が麻や苧麻繊維とは異なります。
おかげで作業後はスネ毛がかなりなくなっておりました(笑)

他にも面白いものがいろいろ。奥にあるファイという木の樹皮で煮染めした後、
泥媒染すると、このようなきれいなグレーになるようです。

インドネシアの腰機での織りの実演に

ブータンの片面縫取織りの実演。

もう一つ参加したかった大麻の糸作りワークショップは
500円でできるとあり大盛況で、順番待ちで断念。

1000円で販売されていた紐作りセットを買いましたが、
糸と紐の作り方は違い、これは糸を作る工程だそうです。
う〜ん、残念です。

もう一軒、こういうイベントでしか小売をしない
珍しい植物繊維を扱う西銘商事さんのブースです。

イラクサ糸、雁皮糸、紙糸、
タイのヘンプ(大麻)、葛、大麻

真ん中は芭蕉布、横は苧麻布。

そして、蓮布!お値段も一桁違う!
ミャンマー産の糸をカンボジアで織ったそうです。
他の繊維にはないなんとも言えないしっとりとした手触りで、
無意識に触っていたらお店の人に横に避けられてしまいました(苦笑)
手垢をつけてしまい大変申し訳ありませんでした。

ちなみに、会場に入る手前には墨田区の産業の展示がされていました。
切子ガラス、皮革、漆器、鼈甲、人形、木工などなどの工芸品の他、
金型や光学製品などの工業製品も並んでおり、
下町墨田区の産業の一端を知ることができました。

0 件のコメント:

コメントを投稿