2013年5月9日木曜日

食べられる?美術品

5月1-6日に東京の護国寺でチベット・フェスティヴァルがありました。

仮面舞踏チャムを見ましたが、
インドに亡命しているからこそ手に入るであろう素材を使った衣装は、
現在ではおそらくチベット現地よりも高級なんじゃないだろうかと思いました。


チベット仏教には興味深い工芸品が多く存在します。
亡命チベット人は、インドに「ノルブリンカ・インスティチュート」という
美術学校を設立して、チベット仏教美術を守ろうとしています。


チベットが中国に併合されてしまってから、
唯一チベット仏教を国教としている独立国はブータンだけになってしまいました。
私はまだチベットに行ったことがないので、
ブータンで見た不思議なものをご紹介いたします。

これはブータン中部のブムタンという町の農家に泊まった時の写真です。
居間のテレビの上と横に何やら豪華な物体が・・・



これは、トルマといって、仏様へのお供え飾りのうちでも特別なものなのです。
材料は小麦粉とバターと着色用の色素で、
食用色素を使っていれば食べられる?
この農家の近くには古いお寺があり、そこと懇意にしているので、
大きな法要に使った後のものを予約していてもらって来たのだそうです。
あまりにすごくて、この時は細部の写真をうっかり撮らないでおりました。

 この家の仏壇には別のトルマがありました。
普通は中央上部や、右側のような形のものが多いです。

一般家庭の仏壇だけでなく、もちろんお寺にも飾られますが、
ブータンでは寺院の内部の写真撮影は禁止されているため、具体例はお見せできません。
これは、インドのアッサム州にあるチベット寺院の室内です。
亡命チベット人の女性が管理しているお寺で、チベット風トルマが飾られています。

そして、翌年、同じ農家で。
去年のものもそのまま残っているだけでなく、新しいトルマも追加されていました。

ご覧のように、1年前のものとは思えないほどほとんど劣化していません。
昔、小麦粉でできた粘土「パタンタ」というものがありましたが、
小麦粘土ってすごいですね。
これはバター(最近ではマーガリンが多いそうですが)が入っている分
パンフラワーに近いのかもしれません。
そのせいか、鼠がこれを食べに来て、
燭台を倒してお寺が火事になったりしてしまうそうです。
確かに香りも良さそう。

 違和感なく収まっているけん玉と横のダルマは日本人から、
右手の仏像は中国人からのお土産だそうです。
チベット仏教らしく、髑髏の飾りがあります。



一種の立体曼荼羅のようです。

これらの細工は全てお坊さんがするのです。
仏画や彫刻と違って、伝統美術の学校では教えていません。

こういうものもどこかで紹介して欲しいと思います。

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