2013年5月19日日曜日

13の技

ブータンには、伝統工芸を教える学校が、ひとつは首都ティンプーに、
もうひとつが東ブータンのタシヤンツェという、
工芸の盛んな町にあります。

学校の名前は"Institute for Zorig Chusum"
日本語で「伝統技芸院」と言います。
"Zorig"が「技術」"Chusum"が「13」というゾンカ(ブータンの公用語)で、
ブータン工芸の13の技術:
1.絵画(仏画) Lha zo
2.石工 Do zo
3.木工 Shing zo
4.木工轆轤 Shag zo
5.塑像 Jim zo
6.鋳造 Lug zo
7.刺繍 Tshema zo
8.織り Thag zo
9.彫金 Tro zo
10.鍛金 Gar zo
11.彫刻(木、石) Par zo
12.製紙 De zo
13.竹・籐細工 Tshazo

を意味しているのですが、実際に学校に講座があるのは
彫刻、絵画、塑像、木工轆轤、彫金、鍛金、刺繍で、
この他に縫製(Tailoring)科もあります。

この学校は、ブータンの伝統工芸技術の継承と、
貧しい家庭の子供への職業訓練を兼ねて、労働省の管轄で、
ティンプー校が1971年、タシヤンツェ校が1997年に設立されました。

労働省管轄ということもあって、あくまでも技術訓練が目的です。
授業料は無料で全寮制、
学生へは毎月日本円にして3,000円弱の給金が渡されるということもあり、
入学希望者は少なくないようですが、
全校の定員が決まっており、
毎年卒業した学生の人数だけの募集がされるだけです。
そして、コース毎の定員が決まっていないため、
特定のコースだけ人気が高く、あるコースは学生がゼロということも珍しくありません。
現在は仏画コースの人気が一番高く、
ティンプー校には日本人も留学しているそうです。

欧米式の美術学校のように自分が考案した作品を作ったり、
好きな題材の絵を好きな技法で描くということは教えませんが、
16歳で入学してここでしか勉強していないとは考えられないくらい
レベルの高い作品が作られているのに驚きます。

それぞれのコースが面白いので、せっかくなので数度に分けます。

今回はまずティンプー校の様子をご紹介します。
ティンプー校は、ティンプー北部のカワジャンサという地区にあります。

校門を入って右側の建物にはまず木彫コース。

最初は単純な透かし彫りから。
 上の学年になるに従いだんだん高度な作品を仕上げます。


 最終学年になると、こんな踊りのマスクまで。
棚の上にはそれぞれの作品も見られます。
この見本を見て彫るようです。
続いては塑像科です。

 見本の像を見ながら、粘土で細かい部分まで丁寧に作っていきます。

 こんな細かい細工、どうやって粘土だけで保たせるのか、
秘密は次回。

西洋風のデッサンなど何も勉強しなくても
ここまでのものができてしまうというのはやはり信仰心の賜でしょうか。

 次は刺繍コース



おっとここで、残念ながら時間切れとなってしまいました。
伝統技芸院は朝9時からはじまり、昼休み12時〜1時半、
午後は3時半で終わりなのです。
気づかず呑気に見学していると全部のコースを見られないので注意です。
我々はここに来る前に渋滞に遭い、
翌日が祭日で休校、翌年は夏休みでこれ以上見られずでした。

他のコースはタシヤンツェ校の紹介で。

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