「小椋」さんという名字の方は
木工轆轤職人の集落であった滋賀県愛知郡(現在の東近江市)
「小椋庄」が出自だといわれていますね。
「小さい」に「ムク」の「椋」で、なんで「おぐら」と読むのか。
その理由はさておき、
サンドペーパーのない時代に、木工職人が木を磨くのに使っていたものとして、
以前紹介した「木賊(とくさ)」
(これもなぜ「木」「賊」で「トクサ」なのか不思議ですが)
のほかに、ムクノキの葉があります。
これは都内の某所に植わっているムクノキです。
神社や公園のような場所に大木が植わっているのですが、
ご覧の木のように、大木になると大概は手が届く場所に葉っぱがないので、
下に落ちている枯れ葉を拾うしかありません。
もちろん、公共の場所に植わっている木の葉をむしるのはやはり怒られますし、
実家の近くでは残念ながらまだ見つられていません。
自分の家に一本植えたいなとも思い
実を拾って蒔いたりもしたのですが、
知らない植物は全て抜く父親がいる間は生やすのは難しそうです。
さて、最近用事があり、一度も行ったことのない町まで出かけました。
炎天下、徒歩で延々と田舎道を歩く道すがら、
こんなところにムクノキはないかなあと思って、ほんの10歩ほど歩いたところに、
なんと、ほんとうにムクノキが!
まだ若い木のせいか、手の届く高さに葉っぱがあります。
どうやって判断するかは簡単です。
触ってみて表裏ともにざらざらしていたら正解!
ナナフシもびっくり。
歩道にはみ出している部分だけちょいといただきました。
乾燥させるには、ちゃんと新聞紙か何かに挟まないとくるくる丸まってしまうので
持ち帰るためにはきちんと葉っぱを重ねて折れないようにします。
こんなふうに縮れてしまっても、
もう一度水に浸しておけば戻ります。
上がまだ乾燥途中、下が乾燥したもの。
よく見ると細かい毛がたくさん生えています。
これが木を研磨してくれるのです。
(下の定規の目盛りは1mm)
これはN先生から10年くらい前にいただいた市販の椋の葉です。
きれいに大きさがそろえてあり、10枚ごとに藁で縛ってありました。
これは漢方薬として使われるほか、
陶芸では「木の葉天目」の模様を作るために使われていますが、
今では採取する人もあまりいないかと思います。
ところで、ブータンの木工轆轤職人も
別名「サンドペーパーの葉」と呼ばれる
「ソクスム」まはた「ソグソグパ」という葉を使って
木地を磨いていました。
日本のムクノキはAphanantte aspera
ブータンのサンドペーパーの木はTrema politoria
同じニレ科の植物です。
国は違えど、最初に気づいた人はすごいと感心するばかりです。
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