2014年6月24日火曜日

割り箸で糸

今年は両親の手術と入院が続き、
家母親は漆にかぶれることもあり、
手を汚さないで母屋でできる作業の割合が増えています。

そんなある日、物置を片付けていたら恐ろしい品を発見してしまいました。
大きな茶箱をあけてびっくり。
おそらく祖父母の代に買っていたと思われる、大量の布団綿です。
何かこれを使う方法がないかといろいろ調べてもみたところ、
布団綿を使ってシャツを作られる女性の記事を見つけました。

ここまでたどりつくにはどれくらいかかるかと思いつつ、
でもやってみなければわからない、というわけで、
先日久しぶりに東京に寄った際、
染織の生き字引、Tさんに、綿をどうしたらよいかご相談しました。

「割り箸一本あれば糸は紡げるわよ」

説明だけではわからないので、実際にやって頂きました。
まずは、綿をほぐしたものを適当な大きさに巻いて
「篠(しの)」という固まりを作ります。
綿の繊維がなるだけ縦方向になるようにみて作るのがコツだそうです。
最初は篠から少々の綿をつまみ、それを数センチだけよじり、
割り箸に巻いてからスタートです。
実際はお話しながらの作業なので、音声は消してありますが、
このように割り箸だけでちゃんと撚りができているのです。
まるで手品のようです。
「こういうのは慣れだから」
とおっしゃるTさんも今では、
機械の方が早いからそればかり使っているとのことです。

この後Tさんの前で何度か試してみたものの、
せっかくTさんが撚ってくれた部分まで無駄にしてしまうほどへたくそで、
「練習しないとできないから」と、Tさんから練習用の綿を分けていただき
以前、M先生から頂いていたスピンドルを使ってやってみました。

長野で使われていたものだそうです。
鍵状になった部分に綿の繊維を引っ掛けて引っぱり、回転させて撚るのですが、
そこまで行くまでがまた一苦労。
Tさんの割り箸法でも繊維が均一に出せないところからつまづき、
最後は指でこよりを作るようなことに。

真ん中がこよりのようにして作った糸。
あと2つは下の紡錘を使って作った糸です。
これが一番均一にできているとは言え、
これで数時間かかっているんじゃどうにもならず、
夜なべして頂いた綿を半分使ったところで、現在忙しくなり挫折中です。
Tさんに見せたら笑われるのは確実。。。。

篠から魔法のように次々繊維が引き出される様子を見ていると
うまくできるようになればさぞや楽しいだろうなと思います。
残念ながら現段階ではシャツを作れるような細い糸を作るのは到底無理どころか、
毛糸のように編むとしても、そこまでの量を作るにどれだけの時間がかかるのか、
昔の人の布作りの大変さを改めて感じただけでも、
やった甲斐があったと言えるでしょうか?


ところで、妹の植えていた綿は、
忙しいらしくちっとも移植されないままで置かれています。
場所によってはそろそろ花が咲く時期らしいのですが
残念ながらこれは私は手出しができません。

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