2014年5月19日月曜日

日本のころも作り

2000年7月にロンドンのScience Museumを久し振りに訪問した時、
イギリスで時代ごとに使われていた日用品を展示するコーナーが新設されていて、
その一番奥、広いガラスケース1つをまるまる使って
豊田自動織機の第一号機が展示されていました。

19世紀の織物産業で一時代を築いたイギリスの博物館の、
このような特等席に日本製の機械が展示されていることは
大変嬉しく、かつ誇らしく思いました。

トヨタ自動車は織機製造からスタートしたことは有名です。
名古屋駅から名鉄で一駅先の栄生(さこう)駅から徒歩5分くらいに、

ここの入り口入って左手すぐにも、同じ機械が展示されていました。
正確には、「無停止杼換式豊田自動織機」と言い、
これ以前の織機は、他は自動化されていても、
横糸の杼(ひ)の糸がなくなったら人間が手動で交換せねばならなかったのですが、
それを自動で交換される工夫がされたという画期的な発明でした。
これはもちろん、機械遺産にも認定されています。

そういったわけで、産業技術記念館は、
自動車関係の展示だけでなく、
近代以前からさかのぼっての繊維関係の資料が大変豊富です。
(残念ながら写真はブログに掲載できません)
綿から糸を作る実演なども見られます。

そしてここには、愛知県で発明された日本独自の紡績機械
「ガラ紡」の機械が動いています。

「ガラ紡」とは、その機械のたてる音がガラガラ言うことからつけられた名前で、
手動や水力を用い、構造も単純だったことから各地で真似されてしまい、
考案者にはほとんどお金が入らなかったということから、
日本の特許制度の制定のきっかけになったと言われる機械です。

産業技術記念館の展示品ではありませんが、
東京農工大学科学博物館のビデオライブラリーで動画が見られます。

トヨタに展示されているものは、これよりも音が低く
文字通りガラガラ言っている感じで楽しいです。
ガラ紡で作られた糸は太く、太さもまちまちの上、
よりもあまりかかっていないため、切れやすいなどの欠点もありますが、
独特の味があり、吸水力が良いので、ふきんや衣類にも最近見直されつつあるそうです。

ところで、現在の豊田市が市になる前の地名は「挙母(ころも)」であり、
古くは「衣」とも書かれていたこともあるらしく、
衣服との縁が深いのは偶然ではないのかもしれません。

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