数日家を空けていた間にも、漆の木はどんどん生長しています。
今年は花芽の量が半端なく多いです。
全部実になってくれれば嬉しいなと思っていたら、
あれあれ、先月2匹ほど見つけて駆除したはずの毛虫がまたまた発生中!
風が強いにもかかわらず、うまく葉の根元などにも隠れています。
これを去年の枝で取り除こうとすると、糸を吐いてぶら下がります。
つまり、糸を吐いて繭を作るタイプの蛾なのです。
これらの漆苗木を頂いた3月末の丹波夜久野の漆林でも、
まだ雪が降る時期にも関わらず、既に毛虫がついていました。
漆の木にはまだ葉っぱもないのに、既にかなり大きくなっていました。
幸いこの漆林にはこれ一匹だけでしたが、一体何を食べて育ったのでしょうか?
そして、岩手県の浄法寺でも、やはり葉のない漆林に前年の繭が落ちていました。
実際、何年も前から漆の木につく蛾の被害が日本各地であるのです。
いや、日本だけでなく、ブータンでも。
東ブータンの漆器産地、タシヤンツェでは、
漆職人が山に自生する漆の木を抜いて家の回りに植えて使っているのですが、
私達が訪問した年に、それまで順調に育って大きくなっていた漆の木に
突然大量の毛虫がついてしまったと、
職人さんがその被害の大きさをまくし立てているところです。
木が植えられている場所は谷間になっていて、
背後には漆でない大木もあり、見たところかなり風通しが悪く、
それが蛾の発生を促したのではないかと説明しました、
これがブータンの漆の葉についた毛虫の繭です。
敬虔な仏教信者であるブータン人は殺生を嫌うためにこれらを駆除することができず、
翌年、20数本あった漆の木は全滅してしまったと聞きました。
これらの繭を作る蛾ですが、野蚕の一種クスサンやらでないかと思い、
「漆の木に蚕蛾がつくとは知らなかった!」
と大喜びされ、
逆に、漆の木で野蚕を育てるのはどうだろうか?とも言われました。
そうです、一方では憎らしい害虫が他方では益虫になるのです。
ブータンの蛾はインドでも糸を取るシンジュ蚕(エリ蚕)ではないかとのことでした。
この、東ブータンの漆産地タシヤンツェは、
エリ蚕の産地であるインドのアッサム州に近いので納得ですが、
アッサム州はここに比べてかなりの低地です。
数年前までつかなかった蛾が突然この年についたということは、
気候環境が変化したということでしょうか。
しかし、自然に育った野蚕の糸は間違いなく強いはずです。
ブータンの漆職人さんに繭を取っておいてと頼んでおくべきだったと思いました。
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