ミュンヘンの古城を調査訪問した際、
白い石のようなもので作った彫刻品がありました。
(残念ながら写真を撮っていません)
(残念ながら写真を撮っていません)
不思議な質感で、案内をしてくださった友人のお父さん(ドイツ人)が
これはパイプなどを作る、気泡が多いために軽くて加工しやすい石だと、
聞いたことのない名前をおっしゃられるので、
ノートに綴りを書いていただきました。
"Meerschaum"
ドイツ語の意味がわからず首をかしげる私に
「sea foamという意味だよ」と説明してくださいました。
「sea foamという意味だよ」と説明してくださいました。
帰宅して調べてみると、日本語では「海泡石(かいほうせき)」
まさに直訳そのものの名前でした。
Meerschaum(ミーアシャウム)の日本語読み表記は「メアシャム」。
渋谷のたばこと塩の博物館に展示されていました。
右上のように、使うにつれなんとも言えない色に変化していくようです。
気泡を多く含むため、熱も伝えにくく軽いことで
パイプに適した素材と言えるでしょう。
さて、突然ですが、
これはシェットランドの肉用の羊です。
そして、これは羊毛用の羊。
写真ではわかりませんが、羊の毛は雨などの水をはじくよう
「ラノリン」という成分が含まれており、
触ると結構べたべたしているだけでなく、かなり獣臭いです。
大昔、ロンドンのクラフトマーケットで
ざっくりした手つむぎ・手編みのセーターを買いました。
耐水性が落ちるからあまり洗っちゃいけないとアドバイスされたものの、
とにかく常に家畜小屋のような匂いがして、
どうにも我慢できず洗剤で洗ってしまいました。
このラノリンを除去するためにはsepiolite(シーピオライト)という石の粉が使われます。
これは、油分を吸着する気泡だらけの比重の軽い鉱物で、
実はMeerschaumと同じものです。
主成分はマグネシウムとケイ素(Mg4Si6O15(OH)2·6H2O)。
研磨材としても使われる甲イカ(sepia)の軟骨に似ていることから
ついた名前だということです。
ついた名前だということです。
ドイツのKremer Pigmenteで売られているsepioliteです。
珪藻土よりも、さらには小麦粉よりも軽い感じです。
これをわざわざ購入したのは、羊の原毛から油分を除去するためでなく、
この緑色の家具と関係あります。
これはフランスの家具職人René Dubois作のファイル・キャビネットで、
Vernis Martin(ヴェルニ・マルタン=マルタン・ワニス)という、
コーパルと亜麻仁油が主成分の透明ワニスで塗装された家具の代表作のひとつです。
この緑色塗膜部分を分析したところ、sepioliteが検出されたとの話で
それの復元実験をしようと思ったのです。
どうしてこれにわざわざsepioliteが使われたのか?
実験してみてもいまひとつ理解できなかったのですが、
たまたま身近にあっただけという単純な理由かもしれません。
海の泡の粉でできた青色の家具だったらさらに夢があったかなあ、
なんて勝手に思ったりしています。
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