2013年10月28日月曜日

用途のある難しさ

10月はとにかく多忙で更新があまりできませんでした。
せっかく登り窯で焼いた作品も一切お見せできておりませんでしたが、
実は今回は、現在の共同研究に関する復元品の製作や、
実験製作の作品を含んでいる関係上
現段階ではお見せできないものがいろいろあります。

共同研究のために制作していたもののうち、窯場に運ぶ時の車の振動で
複数パーツを組み合わせた大きめの作品一点が無残に壊れ、
(山の急な坂道を登らねばならないため)
別の大きい作品は、無釉なのに、焼成室にこれを並べた方が
どういうわけか仮止め粘土を3箇所につけられていて、
そのため粘土で固定していた部分が均等に縮まず、
正円になる予定が三角に変形してしまい、
円形でなければ意味をなさない品なのでこれもボツ。

焼いていない粘土状態なら、乾かして粉にして水で練ればまた作品ができますが、
一度焼いてしまったものは再生ができません。
欠けたりヒビが入っているわけでもない大きな品なので、
割るのもなんとももったいなく、
かと言って器でもないため他に使い道もなく、現在保留中です。
陶芸作家の方々はこういうものを貯めておいても困るし、
自分の作品クオリティを保つためにも容赦なく割られるんですよね。

基本的に工芸品というのは、用途があってこそのものですから、
その用途に使えなければ単にガラクタなのだなと改めて思います。

さて、復元品を作った残り粘土では個人的な実験作品や
遊びの作品を作りました。

北欧雑貨の店、"The Time Has Come"さんのリストにあった
このコーヒーポット



デンマークのRichard Kjaergaadが1956-59年ごろに製作した品だそうです。
これをティーポットとして作ってみようと、
粗い信楽の土で少々形をアレンジして作ってみました。

少々下に重心を持ってきました。

表面は無釉、内側だけ白の釉薬をかけました。

単独で見ているとあまりわかりませんし、
もちろん土も違いますが、
元の品の写真と並べてしまうとやはり形の洗練度が違いますね・・・
実物は見たり触ったりもしていませんから、
重さや厚みも違うはずですし。

外見上は登り窯の効果できれいに焼けたように見えるのですが、
前の登り窯の記事に書いた通り、
釜が高温になってからの時間が長すぎた影響で、
ティーポット用として開けておいた内側の茶こし穴部分が、
かなり多めに釉薬を掻き落としていたにもかかわらず、
数カ所を除いて埋まってしまっておりました。
そのため、注ぐ時の液体量のバランスがとても悪く、
全く使えないわけではないものの、
もちろん人様に売ることはできないクオリティです。

その他、感覚的に視覚バランスだけで作ってしまいましたが、
注ぎ口が下すぎて、うっかりお湯を溢れさせてしまう点、
片付ける際に余計な面積を取る点など、
実用的な面では不合格品です。
数を作り、使ってみなければわからないことが多いなと、いろいろ勉強になりました。

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