2013年10月21日月曜日

銀座の金だこと招き猫

金継ぎがここ数年静かなブームとなっているのにも関わらず
金相場の高騰により
金の丸粉を使った本格的な蒔絵も
なかなかしにくい状態が続いています。
現在の価格はなんと1グラム8,000円程で、
私が記憶している限りで最安値だった頃の4倍近くです。
そんなこともあり、金粉や金箔の売れ行きもかなり落ち込んでいるそうです。

現在日本で蒔絵用の金粉を製造販売しているお店は2軒のみです。
(他のお店はこの2件から仕入れて販売しています)
一件は金沢の「吉井商店」
http://www.yoshii-kanazawa.co.jp/

もう一件が、銀座8丁目にある「浅野商店」です。

現在の店舗名は、その名もなんと「金座」です。

通販で購入できてしまうので、わざわざ店舗まで行って買う方も少ないかと思いますが、
店舗ではウエブサイトには出ていない、
浅野商店がお客さんの意見を取り入れて直々に筆工房に依頼して作ってもらったという
特製の蒔絵筆や関連道具の販売はもちろん、
蒔絵粉の見本手板も見せて頂けます。

左から丸(まる)粉、梨子地(なしじ)粉、
右は平目(ひらめ)粉

平目粉の大粒のもの
平目粉の別の見本

平極(ひらごく)、平極2,半丸(はんまる)から丸粉15号まで。
半丸粉は現在は作られていないようです。

これらの見本手板はこのように撮影許可を頂いたとしても、
粉の大きさを調べられるくらいの精度の写真はなかなか撮れるものではないですね。
蒔絵を修理する場合、小さいものなら現物を持って行って
この見本と比較させて頂いてから粉を購入すると良いと思います。

さて、このお店におられた浅野直樹さん、
浅野商店のホームページで
金粉作りの作業をされている写真のご本人でした。

中指には長年の粉作り作業の証しである「金粉ダコ」が出来ています。

蒔絵粉の作り方は「無形文化財記録〈工芸技術編4〉『蒔絵』」文化庁、1973年
に、当時東京両国におられた清水佐太郎氏の道具と作業の手順が掲載されています。
独特のふるいや、粉を丸めるすりこみなどが出ていますが、
これも絶版です。
著作権の問題があるので、残念ながら画像もご紹介できません。
浅野商店さんは工房は別の場所にあって、見学も受付ていないそうですので
私も作業現場の様子は全くわかりません。

さて、浅野商店は、
以前その名も「ゴールデンビル」の9階にあった店舗を1階に移動してから、
化粧用あぶら取り紙や、金箔粉を使った手軽な商品も店頭で販売されています。
ご存じのように、あぶら取り紙は金箔を打つ際に使う
箔打ち紙の古くなったものを利用したのがはじまりですが、
人気が出た現在では一度も箔打ちに使われたことのないあぶら取り紙も
いろいろな店で販売されています。

浅野さんによれば、ここで一番人気の商品は、
金粉でもあぶら取り紙でもなく、
この、招き猫のうつし金蒔絵なのだそうです。

この招き猫のオリジナルは豪徳寺の焼き物の招き猫で、
これまでずっと浅野商店の守り神=マスコットとして置かれているのだそうです。
(浅野さんの写真の右側に見えるのがその招き猫の現物です)
お店の守り神であるこの猫をデザインして販売をはじめたところ
これを携帯電話などに貼った人に次々に良いことが起きたと、
特に、近くの飲食店で働く女性に口コミで広まったのだそうです。
購入者で希望される方には特製の道具を使って、
店頭できれいに貼って下さいます。

そう言われてつい買ったものの、
携帯電話に貼るのがなんとも惜しく、このように台紙のまま持っている次第です。
宝くじに当たるような驚く程良いことはまだ起きてはいませんが、
無事に暮らせているだけでも御利益かもしれません。

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