2013年10月15日火曜日

予想がつかない結果

先日、登り窯の窯出しがありました。
窯焚きも6日間でしたが、冷却期間も一週間以上取らねばなりません。

備前焼の人間国宝の伊勢崎淳氏は、
登り窯の焼き上がりは99%コントロールできるとおっしゃっていますが、
こちらは年に1度しか登り窯を使わない愛好家の集まりですし、
使う土も釉薬も大きさもバラバラです。
もちろん窯焚きの責任者の先生はおられますが、
先生も6日間徹夜というわけにはいきませんから、
この時間はこの温度が目標、という数値を見ながら
分担作業での窯焚きとなります。

しかし、1年前やそれ以前のことをしっかり覚えている人も少ない上、
私のように数年前に1度参加しただけの人間は、
毎年参加されている人に言われたことをやるだけです。

私は窯出しに参加したのは初めてなのですが、
実は、今年はかなりのアクシデントが発生しておりました。
手前の胴木間(どうぎま)では、薪を投げ入れる方向が悪かったらしく、
作品がいくつも倒れています。

他の焼成室のいくつかでも棚が傾いています。

そんなこんなで、窯出しは慎重に行われましたが、
やはり破損した作品もいくつもありました。
写真を撮ってたら怒られるくらいのめまぐるしさです。
窯焚き終了から一週間以上経過しているのに、出て来る器はまだ暖かいです。


しかし、どんどん作品が並んでいくのは圧巻です。
参加者が多いため、バラエティーに富んだ作品群で勉強になります。

 これが最前方の胴木間に入っていた作品です。
やはり、いくつかがくっついたり壊れたりしていたようで、
私が見た時には既に破損品は取り除かれていました。

これは別の焼成室にあった大壺です。
他の作品が落下して割れてくっついてしまったようです。
後ろに座っている人と比較するとその大きさがわかると思いますが、
釉薬もきれいにかかっているのに残念です。
右に見える黒い大皿も端が割れていました。

土代、釉薬代、焼成代、もちろん作るための労力を考えると
何とも勿体ないことです。
ここで嫌になってやめてしまう人と、
次回こそ!と頑張る人が篩い分けられるのでしょう。
しかし、ガス、電気、重油の窯ではできない
思いがけない効果が現れるのが面白いからということで
止められないという人が多いです。

今回は我々の焼成室は早く高温になりすぎ、さらに高温の時間が長すぎたようで、
こんな感じで釉薬が垂れて棚板にくっついてしまったものが
大量に出てしまいました。

棚板も特殊なもので高価ですから(離型材のアルミナが塗られています)
割らないよう丁寧に鏨やディスクグラインダーなどを使って
取り外しを試みますが、
どうしてもきれいに取れないものは作品の一部を割るしかなく、
なんとも悲しい瞬間です。

他の人の作品とくっついたりしたものは取り外し作業も責任重大です。
私のものでも、くっついたり釉薬が垂れすぎた品がいくつか出て来てしまい
出しておしまい、というわけにはいきませんでした。

もちろん、登り窯大成功という作品もいくつもありました。

他地区の先生が作られたというこちらの苦行のシッタルーダ像は、
一瞬鋳鉄かと見まごうばかりの出来映えでした。
いぶし蝋という釉薬をかけられたとのこと。

せっかくなので中も見せていただきました。
このように粘土を積み上げて作っているとは、外からは想像できません。
中に変形を防ぐための支えの粘土があるのもポイントですね。

失敗を経験とし、来年はうまくいくように考えて作業をせねばなりません。

すっかり空になった胴木間です。
長時間炎と格闘した壁の様子がすさまじいです。

こちらは片付けを終えた焼成室の様子です。
このまま来年までお休みです。

何年もの間焼成を繰り返した壁は、それ自体が芸術品となっています。

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