2016年2月22日月曜日

インド調査2016(7) Nironaのラックの轆轤塗装品

Bhuj2日目、今度は北のNirona村に向かいます。
パキスタンの国境に近く、途中、インド軍の施設があるおかげで、
ここはいつも道路が大変きれいに整備されているのだそうです。

窓の外は両側とも同じ植物が延々と続きます。
葉っぱの感じから綿?と聞いたら、いや、これは蓖麻(ひま)だと。
「ひまし油」の蓖麻です。
こんなにたくさん何に使うの?と聞くと、やはり薬にするんだという話。
せっかくだから降りて見ようということになりました。

蓖麻の全体です。結構大きいです。

花。

まだ実は熟していないので、潰しても油は出ませんでした。

「そうそう、昨日の絨毯屋が言ってた赤い実の木がここにあるよ」
とDさんが言うので、見たら、なんだ、インドナツメではないですか。
野生のラックがついていないか探しましたが、
残念ながらここにはいませんでした。

さて、2時間くらいでNirona到着。
この村は過去には狩猟などで自給自足をしていた地域だったけれど、
政府関係者の指導のもと、
地元でとれる材料を使った工芸品の制作が行われるようになったのだそうです。
なので、ここでのラック工芸も歴史はたかだか60年くらいのものだとか。

観光客に見せるために、家の前に道具が設置されています。

弓旋盤です。
構造はシンプルなものですが、
実際作るとなればそれなりの調整が必要でしょう。








天然顔料を混ぜて棒状に固めたラックを摩擦熱で溶かして塗装するという方法です。
ラックは以前はインドナツメについた天然ラックを使っていましたが、
天然ものはゴミが多いから、今は町で買うバトンラックも使っているそうです。
1年に1回しか作らないからということで、やはり製造工程は見られませんでした。

弓旋盤で削ったスプーンに、棒状に固めたラックを押しつけ摩擦熱で溶かし、
さらに別の色のラックが塗られた棒を押しつけて模様を付け、
ヤシの幹で作った棒を押しつけて平らにならし、
その上をピーナツ油をつけた布で拭いて磨く、という工程です。

この弓旋盤を使わせてもらいましたが、
右手で弓を引いて、左手で刃物や道具を操るというのは
なかなか慣れないと難しい作業です。

職人さんは必要に応じて両足も駆使しています。

材は近くで採れるアカシア。
マメ科の木なので堅くて丈夫です。




ノコの目立て方がちょっと面白い。

アサリはあまりないようですが。

驚いたのは、デモンストレーションが終わると
周囲にいた女性が一斉に店開きすることです。

一瞬にして商品が目の前に並びます。
慣れてますね〜

料理用スプーン、ターナー、そしてチャパティローラーです。

他に白人の観光客がおられたので、
買い物はそちらにお任せして、こちらはさらに道具観察。
刃物を研ぐ砥石

使う刃物もたった数本だけです。

細いのと
広いの。
道具箱。
左手の竹のように見えるのがヤシの幹です。

作品写真集も見せてもらいました。

このおじいちゃんが11歳の時から始まり、
現在70歳なので、それだけの歴史だとのこと。
昔はスプーン一本50パイサ(1ルピーの半分)で売ってた、と笑ってました。
現在一本が400ルピーです。

同じ村にある「ローガン・アート」というのが有名で、
次々に見に来る白人さん達も先にそれを見てからこちらに来たから
ローガン・アートも是非見るべき、と言われ、
お客さんがいる間にそちらへ移動することと致しました。


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この調査は科研費の助成により行われました。

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