2013年6月24日月曜日

芦屋のマヤ神殿

日本にはフランク・ロイド・ライト設計の建物が数件ありますが、
一般に公開されているものは、明治村の「帝国ホテル中央玄関」以外では、
芦屋の「ヨドコウ迎賓館」

目白の「自由学園明日館」
http://www.jiyu.jp/(公開日限定)
だけのようです。

自由学園は、昔はおおらかだったこともあり、
大学時代に勝手に入って中を見たことがあります(すみません)。

さて、ヨドコウ迎賓館は、櫻正宗という灘のお酒の蔵元、
山邑家の8代目が別邸として、
帝国ホテルが完成した大正12年に着工したそうです。
ライトが完成を見ないで帰国した後、
日本人の弟子が日本間などを設計して完成にこぎつけたそうですが、
年表を見ると、山邑一家はどうやらここにほとんど住まなかったようです。
阪急芦屋川駅方面から歩いていくとこんな感じで見えます。
(2月末の様子なので、夏はもっと緑が生い茂って見えないかもしれません)

坂を上がっていくと左手に入り口があります。

玄関はこの右手を入ったところです。

屋根から突き出ているのは煙突です。

車寄せが展望台にもなっています。
ここからでも見晴らしは良いです。

意外に狭い玄関ですね。

一階部分は受付と事務所になっており、
靴を脱いで下駄箱に入れたらスリッパに履き替え、すぐに階段を上がります。
大谷石の階段が靴を脱いで過ごす屋内にあるというのは
日本ではあまり見かけるものではありません。

玄関のすぐ上がライブラリーです。
上の細かいグリッドはすべて小窓!
最初は明かり取り目的で開けられない設計だったそうですが、
さすがにそれは日本じゃきついというわけで、
今は網戸が入り、小さいガラス扉がひとつづつ開けられるようになっています。
これをいちいち作った職人さんも大変だったと思いますし、
現在もどうやって掃除をしているのか、苦労がしのばれます。

大谷石のマントルピースも掃除が大変そうです。
(掃除のことばかり気になる)

細かい部分の細工ももちろんライト風。

奥には銅板を張った可愛い流しがありました。

上に上がって、右手が和室ですが、ここも大谷石の階段です。
例年3月を挟んだ時期にひな人形展が開催されるため、
和室内部は撮影ができませんでしたが、
もちろん畳が敷いてあります。

後方に向かう廊下部分です。
しかし、なんという天井の形でしょうか!

そして、これが最上階の食堂の内部です。

マントピースと言うよりまるで祭壇の雰囲気。
これじゃ拝火教???(笑)

四隅から変な魔物に見張られているようで、
これじゃあ落ち着いて食事ができませんよ〜〜〜(笑)

まるで礼拝堂みたいで、
パーティーや宴会など羽目を外せる雰囲気は皆目ありません。
毎日質素なご飯を食べないといけないような重圧感。。。

さて、食堂から屋外に出られます。
見晴らしも素晴らしく、
ここでバーベキューでもした方が気楽かな〜、
なんて思ったところが

で、これは何????????
煙突なんですよね???

後ろを振り返ってびっくり。
これはマヤの神殿???
今すぐにでも後ろの煙突部分に火が灯りそうではないですか!!

壁面の彫刻も実にマヤっぽいです。

「帝国ホテル中央玄関復原記」を読んで、
関係者も帝国ホテルがマヤ風だと感じられたということを知りましたが、
やはり、意図的なデザインなんですね。

ライトの好きな明かり取りスリットも不思議な影を演出してます。

 キッチン奥の流しはテラゾ石製です。

そして、近くでも見ても不思議な廊下の天井。
なんとも落ち着きません(苦笑)。

網戸越しに見る外壁面も、ここが日本とはちょっと思えません。

お風呂は、これは施主が後で檜風呂を入れたのでしょうか?
なんとも不思議な作りです。

こんな中、畳の部屋があるとなんか落ち着きますね・・・

この奥の右手は子供部屋だったそうです。

この建物は阪神淡路大震災で被害を被り、
修復を終えて公開されていますが、
その様子が子供部屋だった場所で流れていました。

ヨドコウの社員寮としても使われていたことがあるそうですが、
一緒に行った友人と意見が一致したのは、
この家の中でくつろげるのは畳のある和室だけ!
というところです。
和室部分は施主のたっての要望により日本人が設計したということですが
山邑家のご家族がほとんど住まなかったというも納得がいきます。
友人曰く、やはり屋内に石が露出しているというのは
日本人の感覚ではちょっと受け入れにくいのではないかという説。
確かに、室内で靴を脱ぐ習慣の日本人には
ちょっと違和感があるのは否めません。
特に、凸凹が多くもろい大谷石ですので、
掃除も大変だろうなあと、また余計なお世話かもしれませんが。
デザインとしてはもちろん面白いのですが、
これは住むのは大変そうです。

今後も保存活用していくのは大変なことだと思いますが、
このように一般に公開されているのはとても有り難いです。
いろいろ勉強になります。

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